上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ガイドポストは龍の調べの第二章、第三章を編集しました。

変更点は一部の台詞等で、物語の進行等に支障はございませんm(__)m
ガイドポストは龍の調べ 第四章『狩人クライシス!』を一部修正しました。
『Last Guidance,』最終話は現在執筆中ですのでもうしばらくお待ちくださいm(__)m
――苔の生えた石板が敷き詰められた冷たい地面の上、ボロボロになった気球船の横で私は目を開けた。

「痛たた……皆、大丈夫ですか?」

痛む節々に顔をしかめながら他の二人に声をかける。

「ええ……」

「うん、何とか……」

すぐに返事が返ってきた。衝撃で甲板から振り落とされた私達だったが、幸い全員が軽傷で済んだようだ。

「うわ……よくこんなところに着陸出来ましたね」

前にも来た場所なのでここが何処かはすぐに検討がついた。
浮力を失った気球船が不時着したのは樹海と古塔の境にあたるエリア。切り立った崖もある危険な地帯だ。
ここに無事に着陸出来たのはバルスさんの操縦の賜物だろう。

「あれ? そういえばバルスさんはどこに?」

ふと気が付き、辺りを見渡しても彼の姿は何処にも見当たらない。


「……何処か別の場所に落ちたのかしら?」

「いや、バルスは最後まで操縦室にいたから……もしかしてまだ中にいるかも」

「怪我とかしてたら大変ですよ! 私、見てきます!」

そう言って気球船内に向かおうとした時である。


「――その心配は無いよ」

バルスさんの声が気球船の正面――棘の生えた植物が群生している場所の中から聞こえてきたのだ。
その茂みがガサガサと揺れたかと思うと、次の瞬間バルスさんは姿を現した。


「バルス、無事だったのね良か――!?」


その瞬間、シャワちゃんを始め全員が息を飲んだ。


特注品だと言っていた黒いギルドバードスーツはズタズタに破けて目も当てられない有り様。
腰に差していた大切な儀式用の剣は半分に折れてしまっており、身体についた大量の引っ掻き傷もかなり痛々しい。

まさに満身創痍の格好だったのだ。

「バルスさんがこんなにやられるなんて……一体近くにどんなモンスターが!?」

「バルス! もう大丈夫だからすぐに傷の手当てを!」

「何処に隠れてるんだ! 相手になるから出てこい!」

各々が武器を構えてバルスさんを囲んだのだが、彼は「ちょっと待ってくれ」と焦るように言った。

「……皆違うよ。これは事故なんだ」

「事故?」

何か嫌な予感がした。

「まずいきなり気球船が墜落し始めたのは君たちも知ってるでしょ?」

「そ、そうですね。イキナリもう……びっくりしましたよ。ね? は、ハンマーさん?」

「そ、そうだね! ほ、本当にビックリした!」

「……それで何とかこの場所に不時着させたまでは良かったんだけど、その瞬間後ろから何かが僕を外へ押し飛ばしたんだよ」

「何かに?」

「後ろから?」

「押し飛ばされ……あっ……!」

急にシャワちゃんが声を上げ、その後で「しまった」というように口元を手で抑えた。

「どうしたの、シャワ?」

「……ええと、その……実はね?」

誤魔化すのは無理だと判断したのか、シャワちゃんは気まずそうに口を開く。

「私、安全強化の為に操縦室に衝撃を関知したら空気を取り込んで膨らむ緩衝装置を取り付けてたんだけど……位置が真逆だったかも……って」

「つまり……操縦者の後ろから飛び出す仕様になってたってこと?」

「……うん、ごめん」


確認するように言うバルスさんに、シャワちゃんは申し訳なさそうに頭を下げた。

「まぁ、服のスペアもあるし、それはあまり怒ってないんだけど……」

……だけど?
バルスさん以外の全員が息を飲んだ。
でも、幸いあのブーメランは墜落の衝撃で抜け落ちているから、あの出来事は絶対にばれないはず……。

「気球船が落ち始める前に上から聞こえてきたんだよね」

しかし願いは空しく、バルスさんの眼は真っ赤に光っていた。

「『ブーメランがっ!』ってさ?」


「……げ」

ハンマーさんから呻き声にも似た悲鳴が漏れる。


「誰? 誰がそんな危ない物使ったの? そして他の人は何で止めなかったのかな? 皆の命に関わるんだよ?」

「……えーと」

「そ、それは……」

「……皆、ちょっと座ろうか?」


幸い気球船は修理可能だということだったが。
バルスさんの淡々としたお説教は足が痺れるまで続いた。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「さぁ、気を取り直して古塔へ向かおうか!」

「ちょっと待って……」

「まだ足が……」

「歩く度に痺れて……」

「いやぁ……ごめんね。何か話しているうちに止まんなくなっちゃってさ」

まさか。
まさかのまさか。
最後の戦いの目前で正座することになるなんて、誰も思わなかったでしょう
怒る内容が気球船のことから私的な事に移った頃には足の位置を三度は入れ換えていました。
むしろ逆に、特に理由の無い暴力に耐えてきた(理由があったことも数知れませんが)彼の内なる怒りがこの程度で済んで良かったと言ったほうがいいのかもしれませんが。


「でも、まぁ。遊んでられるのもここまでだね」

古塔のエリアに入る目前、バルスさんはそう呟いた。

人目で人の手が加えられたことが分かる石造りの床や石柱に階段、そして高々とそびえる古塔が異様な雰囲気で私たちを出迎える。

「何なんですか……これ……」

「これは酷いね……」

誰がいつ建てたのかも分からない古代の遺跡。
その一面に大量のガブラスの死体が散らばっていたのだ。

「……私たちが倒したガブラスかしら?」

「それにしては量が多すぎませんか? でも何か刃物で切られた跡はありますね。傷口が妙にギザギザしてるから私の太刀じゃないようですけど……っ!?」

傷口に指先が触れた瞬間、ビクリと私の身体が跳ねた。

「アクア!?」

「どうしたのアクアさん!?」

「い、いえ、大丈夫です。何か一瞬……電気みたいなのが走って……」

とても嫌な感じかした。
この感じ……前も経験したことがあるような……。

「小型とはいえ飛竜種を一太刀で仕留めている傷痕だ。毒かもしれない……あまり触らないほうがいいね」

「元からここにいたガブラス達を誰かが全滅させたんだね。あの大量のガブラスはそれを察知して集まったんだろうさ……まぁ、それが『誰か』は予想がつくけど」

ハンマーさんが忌々しげに顔をしかめる。
これはこの先に確実に『彼女』がいるという証拠でもあるのだ。

「考えても仕方ないわ、早く移動しましょう。ここにいれば、いずれあのガブラスの群れを相手にする羽目になるわよ」

頭上を見上げると気球船の突撃で散ったガブラスがまた集まり始めていた。
地上であの量を相手にすれば無傷では済まなかっただろう……危険な目に逢った代償はあったようだ。

「確かにこりゃゆっくりしてる暇は無さそうだ。一本道だし、もしもの為にも固まって移動しよう」

「了解です」

そんなハンマーさんの言葉に従って、私達は古塔へと真っ直ぐに続く道を歩き始めた。


「……」


そこからは無言になり、古塔の入り口まで幾数のガブラス達を踏み越えていく。
一歩進むごとに、重苦しい圧力のようなものが襲い掛かってくる。

「後は登るだけですね……」

ようやく古塔の入口に辿り着いた時、私が沈黙に耐えきれずに呟いた。
前のように飛竜が住み着いてるということはなく、大雷光虫もいない。
異様な程の静けさだった。

「ここまで来たんだから帰りたいなんて言わないでよ?」

「い、言うわけ無いじゃないですか!」

「足が震えるなら僕がおぶってあげようか?」

「……え?」

ふとバルスさんに目をやると本当に私に背を向けて腰を落としていた。

「ちょっとバルス! こんな時まで何言ってるのよ!」

「何だい、シャワもかい? いいだろう……さぁ、二人とも僕の背中に飛び込んでおいで!」

「……いえ、遠慮しておきます」

「い、嫌に決まってるでしょ!」

「……ちょっと、コントは後にしてよ」

ハンマーさんが飽きれ顔で言うが、バルスさんのお陰で四人の雰囲気は大分ほぐれていた。


「……」

でも正直、さっきの嫌な感じはまだ拭えていない。
むしろ、指先からじわりと広がってくる気もするのだ。

「……」

そんなこと、心から来る弱さに違いないのに。

「さぁ! 最上階目指して進みましょう!」

私は拳をきつく握りしめて大きく声を響かせた。

――もう怯まない。

四人は頷くと古塔内部の螺旋階段を進み始めた。





「待ちくたびれましたよ?」

古塔の最上部に着いた時だ、そんな冷たい声が響いたのは。

「……二年ぶりですね」

かつて白銀の鋼龍が鎮座していたこの場所に今、肌で感じられる程の禍々しさが渦巻いている。
そんな中心にマリアンはいた――傍らにルシャちゃんを従えて。

「……待ちくたびれただって? まるで私達が止めに来るのを心待ちにしていたような口振りだね」

「まさにその通りですよ、マリディア。笑えますよね、正義を振りかざしてやって来た貴女達が……まさか世界を終末に誘う為の片棒を担うことになるなんて」

「何っ!?」

まだ分からないんですか? とマリアンは呆れたように首を振った。
シャラン、と気味の悪い不協和音が響く。

「目的の為に必要だからここに『呼んだ』のですよ」

「だからあの時あんなことを言ったっていう訳……?」

「ええ。我ながら安い挑発をしてしまったと反省していましたが、こうも易々と引っ掛かってくれるとは思いませんでしたよ。ふふ、もし我が身可愛さに引き籠っていたなら……世界は滅びずに済んだかもしれませんね?」

「そんな……!」

「ふざけた事言わないでよっ!」

「シャワ、アクアちゃん、耳を貸してはいけないよ。自分をしっかり持つんだ。僕らのやるべきことは一つだろう?」

「……そうね。そうだったわ」

「すみません……取り乱しました」

「ふふ……どう思っても結構ですよ。それにしても、貴方はまだ『それ』を被っていたんですね」

てっきり私欲に負けてしまうとばかり思っていましたが、とマリアンは滑稽だと言わんばかりの嘲笑を浮かべて言う。

「……関係ないだろう」

「いえいえ、大ありです。記憶を取り戻してマリディアも消して、共倒れになってくれていたら邪魔者も減って大変助かったのですよ?」

「二人とも助かるために今まで耐えてきたんだ! 今日、ここで終わらすために!」

そう叫ぶバルスさんを見て、再びマリアンは冷たく笑った。
シャラン、とまた音が鳴る。

「私をどうしたところで解決できる問題ではないんですけどねぇ……まぁ、私をどうにかできるとは思えませんが」

今、彼女の装備は二年前とは大きく違い、黒紫色の禍々しい防具を身に付けていた。
先程から不快な音を響かせているのもあの装備。

そして初めから素顔を晒しており、あのリノプロヘルムも持っていない。

いや、持っていない訳ではなかった。

マリアンの傍らに目を移すと、ルシャちゃんが今も沈黙を守って佇んでいる。
マリアンに目立った変化は見られなかったが、ルシャちゃんは二年前より少し背が伸びているように見えた。
前のような不敵な笑みは浮かべてはおらず何処か暗い表情をしているが、背中には相変わらずリノプロヘルムを背負っていた。

「なら、君を捕まえて聞き出すまでさ」

バルスさんが背中の槍に手をかける。
それを合図に私達も一斉に武器を構えた。

「力ずくで、ですか? 私もその方が好きですよ」

マリアンも背中の大剣を抜き出して構える。
二年前と変わらない禍々しい気配が大剣からあふれて出す。

「煌黒大剣アルレボ……」

思わず私はその大剣の名を呟いていた。

「おや、アクア。物知りですね」

「……二年もあればその位は分かります」

もちろん私の知識ではない。
私がまだ見たこともない『神』とも称される古龍――「アルバトリオン」。
その角から作られた、災いを呼び、持ち主の行方をくらませるという闇の武器……全部アンさんが教えてくれたことだ。
恐らくあの防具も同じ古龍のものだろう。

「……戦う前に教えてください。私達をここに来させた目的は何ですか?」

確認するように言った。
そうせずにはいられなかった。



バルスさんやハンマーさんを邪魔者だと言ったこと。それならばバルスさんについてきたシャワちゃんもそうだと言うことになってしまう。

「ふふ……その顔はもう予想がついているんでしょう?」


――なら、答えは一つ。


マリアンの顔に淀んだ笑みが浮かび上がった。


「その通り、貴女ですよアクア。祖龍復活には『少量でも古龍の血が混じったことのある人間の血液』が必要なんです」


軽々と持ち上げられた大剣の切っ先が真っ直ぐ私へと向けられる。

『……アルレボにはとても強い龍属性が秘められているの』

『……気を付けなさいね、アクア』


アンさんの言葉が甦る。



(そうか……だから……)



今更ながら嫌な感覚の正体とその理由が分かった。




私の体にはまだ龍の因子が残っているのだ。

予定では先程あげた第九話で完結させるはずだったのですが、予想よりも長くなり切りも良かった為に次回、第十話にて切り良く完結させたいと思います(`・ω・´)

――ので、最終作成の為に時間がかかってしまうことをどうか寛大な心を持ってお許しくださいm(__)m
プロフィール

楽太郎

Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
楽しんで読んでもらえたら幸いですね
(・◇・@)

お客様カウンター
こんなお時間ですニャ
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。