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女神と呼ばれたハンター 第一話 【外伝】

2012/10/30

【クエストが終了しました】

「あぁ疲れた……」

「お疲れ様ー」

太陽が散々と照りつける真夏の孤島。
男女のハンターは木が重なり合う天然のトンネルの中、静かに倒れるリオレウスを眺めていた。

「それにしても……」

「うん……」

目標は無事達成したようだが、それに似合わず何故か顔は不満そうである。


すると、

「二人ともお疲れさまー!」

背中に花を背負った娘が、何処からかこちらに走ってきたのだ。

緑色のフードを深く被っており、顔はよく見えない。

彼女に気付いた男のハンターは、怒りをあらわにして怒鳴る。

「おい! お前今まで何処にいたん……ぐぁっ!?」

フードの娘の口元はニヤリと笑っていた。
途端、男が宙を舞う。

「ちょっと!? あなた何して……きゃあ!?」

続いて、女のハンターも同じように飛んだ。

「へへっ」

何とその娘は、二人をハンマーでかち上げたのだ。

「いただきぃ!」

その隙に二人が討伐したリオレウスから剥ぎ取りを始める。

「やったっ! 紅玉ゲットぉ!」

「いてて……おい! 一人じゃ不安だからって言って着いてきたくせに何て事しやがる!」

「うぅ……そうよ! 全然手伝いもしないでこんなことっ……!」

それを聞いた娘はフードを取り払い、舌を突き出した。

ふわり と肩に触る位の長さで揃えられた白い髪が風に流れる。

日光に照らされて銀色に煌めく髪に、二人は一瞬怒りを忘れて見惚れてしまう。

「あははっ! 騙される方が悪いんだよ! 私の為にどうもありがとねー!」

「っ……てめぇ!!」
「待ちなさい!」


じゃあね! そう言って笑いながら逃げ出す彼女の名前はチョモ(chomo)。
両親から貰った、古い伝説にある気高き山からつけられた名前だが、これはその名を地に落とすかのような振る舞いをしている彼女が更正し、後に「天山の女神」とまで呼ばれる伝説のハンターになるまでの、そんな話である。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


小さな村の酒場に一際響く声が一つ。

「いっただっきまーす!」


豪華絢爛。


嬉々としてフォークとナイフを構えるチョモの前には、女帝エビのソテーやキングターキーの丸焼き、ピンクキャビアなど、貴族でも宴でしか食べない程の高級料理が並べられている。

「いやぁ、こう毎度楽に稼げるなんて……みんなチョロいよね~」

彼女が料理に舌鼓を打っていると、バンッ! と大きな音を立てて酒場の扉が開かれた。

「おい! チョモ! お前またやらかしやがったな!」

「……フレア」

チョモは即座に顔をしかめる。

入ってきたのは、燃えるような赤い長髪に、紅く整ったベストを着た青年――名はフレア(Flare)。
現役のギルドナイトであった。

「ギルドへのハンターからの苦情……これで何十件目だと思ってやがる!」

酒場に響く声に客の注目は二人に集まる。

「そんな苦情だなんて……だいたい悪い事なんかしてないし! アタシが『ちょっと』道に迷ってる内に『たまたま』討伐が終わっちゃってただけだよ!」

「ほう……何時間もベースキャンプで寝てんのが迷うって言うのか?」

「う、何で知って……違うっ! その時は体調が急に悪くなったの!」

「毎回毎回か? そ・れ・がそうだって言ってんだよ!」

そんなやり取りを続けていると、フレアは「ハァ」と深いため息をつく。

「お前なぁ……こんなことばっかしてると、いつか絶対後悔するぞ?」

その言葉に彼女はキッ! とフレアを睨む。

「ふん! あんな狩りの腕に自惚れて周りも見れない奴らをカモにして何が悪いってのさ?」

「開き直りやがった……手癖ばっかり悪くしてねぇで、狩りの腕を少しでも上げたほうが絶対お前の為に……」

「うっさいなぁ! アンタは父親のコネだか何だか知らないけど、一人で勝手にギルドナイトなんかになって偉そうにさ!」

チョモはフレアの言葉を遮ると、おもむろに立ち上がった。

「なっ! 親父は関係ねぇだろ! 俺はちゃんと勉強して……っておい! 待てっ!」

「フレア……アンタやっぱり昔と変わったよ」

そう言い残したチョモは、すでに酒場を扉を抜けた後であった。

「あいつ……それはこっちの台詞だろうが……」

会話が終わり一瞬の静けさが訪れるが、二人のやり取りを見物していた客も次第にフレアから視線を外し、酒場はすぐに賑わいを取り戻した。


「フレア君も大変だねぇ。幼馴染みがあんなに元気だと」

扉を睨んでいるフレアの肩を酒場の料理長がポンと叩く。

「おばちゃん……別に俺はただ任務として……」

料理長はそう言うフレアに対して、ニコリと笑いかけると、

「フレア君、チョモちゃんの代わりにここのお勘定、貰ってもいいかな?」

「は?」

バッと机を見ると、そこにはキチンと領収書が置かれていた。

「あの野郎………っ!」

酒場に二度目の怒声が響き渡ったのは言うまでもない。


        ◇


「皿洗いって本当にやらされるんだな……」

げっそりとしたフレアは、沈みかけの太陽を見て更に愕然とする。

「チョモのやつ……今度会ったらタダじゃ済まさねぇ……!」

そう毒づきながらフレアは夕暮れの村道を歩く。


「………」

『一人で勝手にギルドナイトなんかになってさ!』

『フレア……アンタやっぱり昔と変わったよ』


頭の中にチョモの声が響く。

「でもあいつがああなっちまったのは……やっぱり俺のせい……だよな」

そう呟くと、途端に過去の記憶がフラッシュバックする。

村の中でも裕福な家の子供だったフレア。

彼は幼少期の頃から活気溢れる少年で、毎日のように探検と称して様々な所に出掛けていた。

そんなフレアはある日、村外れにある小さな森へと迷い込んだ。

「忘れるはずねぇ……そん時だ……あいつと初めて会ったのは」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「すげぇ! お城みてーだ!」

少年時代のフレアが森の中で発見したのは、小さく切られた岩で組み立てられた古い建物だった。

これは凄いものを発見したぞ! と中へ入る場所を探したフレアだったが、

「ちぇっ……柵があって入れないや」

建物の周りには庭が広がっており、鍵のかかった入り口から庭を囲むように高い木の柵が立てられていたのだ。

「うーん……どっかに……」

何とか入ろうと、穴でも無いかと柵の周りをぐるぐると回っていると、

「あ!」

柵が痛み、何とか抜けれそうな穴が出来ているのを見つけたのだ。

「よし潜入ー!」

そこへ入ろうと身を屈めた時、

「………誰?」

急に上から声が聞こえた。

「え?」

ふと顔を上げると、柵の向こう側には一人の少女がいた。

フレアは一瞬にして目を奪われてしまった。

風になびく、腰まで伸びた純白の髪。

純銀に輝くそれは、自分のまだ短い人生の中で最も美しい光景だった。

「……あなたは何処から来たの?」

「えっ……あ、俺は村から来たんだけど」

フレアは我に返ると、少女と互いの事について話し合った。


           ◇


「ふーん、外ってそんなところなんだ」

柵越しに話す彼女はチョモといい、この『こじいん』という建物で『しすたー』なる人と暮らしているのだそうだ。

「あ、他にも友達はいたんだよ?」

皆、外へ出ていっちゃったけどね…… と彼女は顔を寂しげにうつ向かせた。


「じゃあさ! 一緒に遊びに行こうよ!」

フレアの口は考える間も無くそう言っていた。

「え? でもシスターが外へ出ちゃダメだって……鍵もかかってるし」

「ほら、ここから出れるんだ。村を見に行こうよ! すぐに戻れば平気だよ!」

その提案にチョモは少し考えるように、また少しうつ向いたが、

「……うん! わたしも村を見てみたい! 案内お願いね? フレア」

「うん! 任せて!」

そして二人は森を抜け、村へとやって来た。

「凄い! 家が沢山あるよフレア!」

酒場や雑貨屋……村の建物は少なかったが、チョモを喜ばせるには十分だった。

二人はその後、森の中を散策して夢中で遊びまわった。

そして、充分に遊んだ二人は再び柵の前まで帰ってきていた。

「今日はすっごく楽しかった! ありがとうフレア!」

にぱっ と笑う彼女の笑顔はとても嬉しそうで、

「だったら明日も明後日も一緒に遊びに行こうよ!」

そう言わずにはいられなかった。

「ホント!?」

チョモの顔がさらに輝く。

「もちろん!」

それからフレアは毎日のようにチョモを連れ出しては村へ行き、森で遊んで過ごした。

酒場の料理長などと顔馴染みになったチョモは、次第に村人にフレアの幼馴染みだと認識されるようになった。
しかし孤児院から勝手にチョモを連れ出して手前、フレアは父親に怒られるかもしれない。だから村人には秘密にしてくれるように頼んでいた。

同年代の子供が村にいなかったのでフレアは毎日がとても楽しくなり、このままずっとチョモと一緒に遊んでいたい――そんなことを考えていた。


あの日までは……




「フレアー! 待ってよー!」

「早く来いよチョモ!」

二人が出会って数ヶ月が過ぎたある日、二人はいつもの様に森で遊んでいた。

「待ってったらー!」

「あはは! ……っと……いてっ!」

後ろを向いて走っていたフレアは木の根に躓いて転んでしまった。

「大丈夫!? フレア!」

「うん。ちょっと擦りむいちゃったけど、ほら、全然平気!」

そう言って擦りむいた膝をチョモに見せる。

膝は少し血がにじんでる程度で、怪我としてはほとんど心配ないものだった。

だが、

「………チョモ?」

それを見たチョモは突然ガクガクと体を震わせ、

「ち……血……!! いや……いやぁぁぁぁぁ!!」

チョモは急に錯乱し、頭を押さえて倒れたのだ。

「チョモ!? どうしたんだよチョモ!」

「うぁぁぁ……ぁぁぁ!」

チョモの様子は尋常ではなかった。

「……!? い、医者につれてかなきゃ!」

フレアはすぐにチョモを背負うと、村の医者の所まで走った。

 
          ◇


「フレア! 何故『孤児院』にいたチョモを連れ出したりしたんだ!」

その日の夜、フレアは父親から激しい叱りを受けていた。

「ご……ごめんなさい!」


フレアの父親は厳格な人で、やんちゃなフレアが唯一恐れる存在だった。
その父が今までで見たこともないほど激怒している。


「でも……チョモはとても寂しそうで……だから……!」

「言い訳など聞きたくない! どんな理由があろうともお前のしたことはただの偽善でしかないんだ! それが彼女を危険に晒したんだぞ!」

「………!」

ビクリ とフレアの肩が震える。

「だが……この家の長男なら知らなくてはいけなかったことか……」

フレアの父親は少し考えるように黙り込むと、「いいかフレア……」と話始めた。



「あの子……チョモは私が拾ってきたのだ。戦場でな」

「戦……場……?」

普段では聞くことのない単語にフレアは戸惑う。

「この国と隣国が長年対立関係にあるのは知っているだろう?」

「それは……知ってるけど」

「うむ。それによって、大規模……とまではいかないが、それでも一つの村や町を巻き込むレベルの争いは絶えることがない」

モンスターによる被害も増えてきているしな…… と父は顔をしかめる。

「私はそんな争いを疎んでいる。出来ることならやめさせたい……そう躍起になったこともあった。だが、たかが地方の領主では出来ることは少なかったのだ」

「父さん……」

父親は悔しそうに歯を食いしばった後、懺悔をするように続けた。

「だから私は孤児院を建て、戦場で取り残された子供を拾っては孤児院へと預けてきたのだ」

「父さんがあれを……?」

フレアの父親は紛争が起きる度にその地へと赴いて子供を孤児院へと送ると、体と心の傷が癒えた頃に里親を探すという活動をフレアが生まれる前から続けていた。

チョモも四年ほど前に孤児院へと送られた一人だった。

「だがチョモだけは心の傷がいつまで経っても癒えることが無かった」

「なんで……チョモだけが?」

その問いに父親は少し躊躇った後、重い口を開いた。

「恐らくチョモは目の前で親を無くしたのだろう」


「!」

幼いながらもそれがどんなことかはフレアにも容易に検討がついた。
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楽太郎

Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
楽しんで読んでもらえたら幸いですね
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