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ガイドポストは龍の調べ ~Lost memory´s~ 第三話【追加有】

2012/11/21

その頃、隣のフレアは朦朧とする視界にあるものを捉えていた。

「お……い、あそこに…………何か……」

弱々しく震える手で一点を指す。

「ん? そんな浅はかな嘘でアタシの気を引こうったって……」

そう言いながらもその方向へ視線を向けたチョモは、有り得ないものを目撃することになる。

「何……あれ」

チョモが見たものは薄暗い木々の奥を移動する影。
その影はふらふらと動いており、人間でいう後頭部から背中にかけてが大きく膨れ上がっているように見えたのだ。
奇怪な動きとその容姿が相まって不気味であり、無意識に腕に力が入ってしまう。

「アクアちゃん……あれ見て」

「え? どこですか?」

「あれあれ! 変なのがいる!」

「……ホントだ。何か……お化けチックな気配が……」

「わー! 言わないで! 余計怖くなるからっ!」

(※人の首を絞めています)

「わ、私だって怖いですよっ!」

(※人の喉元に刃物を突き立てています)

そんなやり取りをしていると、更に驚く事が起きた。今までふらふらと動いていた影が不意に止まり、そのまま地面に吸い込まれるように草むらへ消えていったのだ。

「消えたっ!!?」

半ばパニックになって更に腕に力の入るチョモにアクアは慌てた声を飛ばす。

「あれは倒れたんですよ! 様子を見に行きましょう!」

「わ、私も行くの?」

「私だけじゃ色々と不安なんです! それに本当に怪我人だったら大変ですよ! 治療出来るのはチョモさんだけなんですし。さ、行きますよ!」


アクアは行きたくないオーラたっぷりのチョモの手を取る。その眼には有無を言わせない光が灯っていた。

「うぅ……分かったよー。でも怖かったらすぐ戻るからね!」

そう言ってチョモはぐったりとするフレアを地面に転がし、アクアと一緒に影が倒れた場所に走り出した。



「ふぅ……何とか助かった」

二人が走って行くのを見届けると、ハンマーは安堵の息をつき冷や汗を拭った。

「フレアは大丈夫? 結構危なかったんじゃ……ってフレア!? ……顔が真っ青じゃん!? 死ぬなぁ!」

「……っ!?」

ハンマーの渾身の一撃を受けたフレアは血の巡りは良くなったものの、暫く起きることはなかったという。



  
   




「チョモさん! 人ですよ! 女の子が倒れてます!」

いち早く駆け付けたアクアが驚いたように叫んだ。

「良かった……お化けじゃなかった……って容態は!?」

「どこにも外傷はないみたいですね。気絶してるだけみたいです」

うつ伏せに倒れていたのはシャワよりも年下に見える少女だった。赤地に黒が混じった縞々の髪に、赤い棘のついた甲殻で作られた装備を身に付けている。
髪型は細めのツインテールで片方には白い羽根飾りが付けられており、そして背中には……。

「なるほど、あの膨らみはこれかぁ」

少女の背中には熊の頭を模した、リノプロヘルムと呼ばれる巨大な防具が背負われていたのだ。
荷袋代わりにしていたのか、倒れた衝撃で中に入っていただろう様々な種類の草木が散らばっている。

「これは野草……ですかね?」

「んー見たことないものばっかりだね」

「一体どうしてこんなところを……」

「イャンクックの装備を着けてるってことはハンターなんだろうね。それに……」

チョモが何か言いかけた時、少女の体がピクリと動いた。

「んん……」

「動いたっ! 大丈夫!?」

「………」

何かを言おうとしているが、声が小さくて聞こえない。アクアは膝をついて少女の口元に耳を近づけた。

「おなか……」

「えっ?」

「おなかすいた……」

アクアはゆっくりと立ち上がる。

「……チョモさん」

「その子何て?」

「この子治療いらなかったです」

「へ?」

持っていた携帯食料4、こんがり肉3、水を提供したところ少女はたちまちに元気になった。








「私、ルシャ! さっきはありがとうでした!」

ルシャ、と名乗った少女はペコリと頭を下げる。
先程の出来事など無かったかのように回復したルシャは、アクアとチョモ、そして遅れてやって来たハンマーに可愛らしい笑顔を振り撒いていた。

「元気になって良かった! ちゃんとお礼も言えて偉いねー」

先程の怒りは何処へやら、アクアはニコニコとしながらルシャの頭を撫でる。

「良くしてもらったら、ちゃんとお礼言うように言われてる!」

言葉には若干の片言が混じっており、イャンクックの装備とも合わさって何処か異国の雰囲気を纏っていたが、アクアはそんなことは気にならないようでルシャに負けないくらいの笑顔を見せていた。


「そっかー。ルシャちゃん偉い偉い!」

「えへへー」

(あれ? この子こんなキャラだっけ……?)

(どーも年下に甘いとこがあるんだよね……アクア。あんな笑顔、私見たことないよ! 一線越えなきゃいいんだけど……)

(いやいや……流石にそこまでは……)

「ハンマーさん! チョモさん!」

「なっなに!?」
「なにかなっ!?」

ひそひそと話していた二人だったが、アクアがバッとこちらを振り向くのでビクッとしてしまう。

「一先ず村に帰りませんか? 目的も果たしたことですし、ルシャちゃんのこともあります」

「確かにそうだね」

この少女が何故行き倒れていたのか、その理由も聞かなくてはならない。

「じゃあここはギルドナイトの私が連れてくよ。その方が話も進むだろうし……面子的にもねー。二人はクエスト完了の手続きをお願いできるかな?」

「分かりました。じゃあルシャちゃんはこのお姉さんに着いていってね。また後で合流するから」

「あい! またねアクアお姉ちゃん!」

「!?」

途端アクアの顔が赤くなった。

「……もう一回言ってくれないかな?」

「アクアお姉ちゃん?」

「もう一回!」

「アクアお姉ちゃん!」

「……もういっ」
「ストップストップ! アクア! それ以上は何か危険だよ! チョモ、早く連れてって!」

「任せて!」

「ふぐっ!」

ガッチリとアクアの顔面にアイアンクローを決めたハンマーの言葉に促され、チョモはルシャの手を引くと、倒れているフレアに向かって足を上げる。

「いつまで寝てんのっ! さっさと行くよ!」

「……っ!? おま……誰のせいだと……分かった! 分かったから引きずるなぁ!」




     



「ふぁんふぁーふぁん、ほぉろほぉろふぁなひてふぉらへまへんふぁ?」

三人がエリアの外へ出た頃、くぐもった声がハンマーに聞こえてきた。

「あ、ごめんアクア……大丈夫?」

「ぷはっ。さっきはすみません……ちょっと舞い上がりすぎました」

「いや……私もちょっと強く掴み過ぎたかも」

アクアの顔にはしっかりと手形がついていた。

「いえいえ、多分丁度良かったですよ」

「あはは……」

少し前に怒られてる手前、若干腰が引けてしまう。

「ところでハンマーさん」

「なっ何?」

不意に口調が固くなったアクアにハンマーは覚悟を決めて身構える。

「……チョモさんから聞きました。ハンマーさんの昔話」

「私の……昔話?」

突然の告白にハンマーはキョトンとしてしまう。

「今回チョモさん達に出会って思いました。私、ハンマーさんのこと良く知ってるつもりだったけど、全然知らなかったんだなって」

「いやいや、私の過去なんてそんな大したこと……」

「私が辛かった時にハンマーさんは助けてくれたのに、ハンマーさんが辛かった時に私が何も出来なかったことが悔しくて……」

「アクア……」

「まぁそんな気持ちでここに来たら悪口大会やってたんで腹は立ちましたけども」

「…………」

「っとその話は置いといて、私こう思ったんです。まだ遅くないかなって」

「ハンマーさんと出会ってから、私も成長してきたつもりです。これからはバンバン支えていきますからね! 相方として、です」

「……そんなこと言われたら期待しちゃうよ?」

「期待しちゃってください!」

「あはは! じゃあ改めてよろしくね? アクア!」

「よろしく! ハンマーさん!」

二人はお互いに笑い合うと、クエストの手続きをするためにベースキャンプに向かい始める。


「それにしても……あのタイミングで言われるとは思わなかったなぁ」

ハンマーが苦笑してそう言うと、アクアはキッとして答える。

「確かに変なタイミングでしたけど、あそこで言わないとまた色々とはぐらかされるような気がしたんです」

「あー確かに……。ごめん、言うような話じゃないなって遠慮してた」

「遠慮なんてしないでください。相方だってハンマーさんが言ったんですよ?」

「そうだね。じゃあ頼らせてもらいますよ? 相方!」

「了解ですっ!」


以前からお互いに対してほんの小さなものだが遠慮、気遣いというものがマイナスの意味で存在していた。出会ってからそれは次第に薄まっていたのだが、最後の一欠片が取れないでいた。
それが取れた気がした。
周りから見たら些細なことだろうが、二人はたまらなく嬉しくて。
この時の二人は、これからどんなことが起きたとしても大丈夫だと信じていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ルシャちゃんただいまー!」


「おかえり! アクアお姉ちゃん!」

クエスト終了の手続きを済ませたアクアとハンマーは足早にユクモ村へと帰還していた。

「ごめんハンマー! ちょっと仕事のほうを先にしてて、ルシャちゃんのことはまだ簡単にしか説明してないんだ」

「仕事? そっか、休暇で来てた訳じゃなかったんだ」

「失礼な! 私達が遊んでるように見えた?」

「見えた」

「すいません、見えました」

「………」

「まぁそうだろうさ」

喉をさすりながらやって来たフレアがチョモの頭にポンと手を置く。

「俺たちがここに来たのはある調査をするためなんだ」

「ある調査?」

「あぁ、実は……」

その時、集会所の外から女性の悲鳴が上がった。

「まさか……嘘だろ!?」

「行くよフレア!」

ギルドナイトの二人が慌てて飛び出す。

「私たちも!」

「はい!」

それに続いて二人も外へ出たが、そこで待っていたのは予想を上回るものだった。





「だっからあれほど止めときなさいって言ったじゃない!」

「えーそんなに変かな?」

「変過ぎるわ! 完全アウトよ!」

「せっかく買ったのになぁ……」

「大体、頭装備二つって事態おかしいのよっ!」



「アクア……あれって」

「ええ……」

見ればギルドナイトの彼らも唖然としている。

そこにいたのは真っ黒なスカルフェイスの上に真っ赤な帽子『ギルドバードロポス』を被った変人と、それを良く通る声で罵倒する金髪の少女だった。

「バルス! 何やってんだお前!」

我に帰り、それが知り合いだと気づいたフレアは少女とバルスの間に割り込んでいた。

「大丈夫かっ? こいつは変人だが悪い奴じゃないんだ! 許してやってくれ!」

「……ありがとう。で、バルスこの人誰?」

「ごめんフレア、その子僕の連れなんだ」

「んだと!? じゃあさっきの悲鳴は……?」

フレアが辺りを見渡すと、一人の村人がおずおずと前に出た。

「すいません……私が驚きすぎて」

「いや……気にしなくていい。正当な判断だ」

「それ酷くない?」

「反論の余地なんか無いわよ!」

場が落ち着いたのを見計らってアクアとハンマーも二人の前に出る。

「バルスさん、シャワちゃん! お久しぶりです!」

「わぁアクアさん! 久しぶり!」

「黒いの相変わらずだね。元気してた?」

「ハンマーさんじゃないか! こっちはいつも通りだよ」

「ハマちゃん! なにこの面白そうな人達! 紹介してよ!」

知ってる者、初対面の者。挨拶を終えた時、そこには六人のハンターが揃っていた。

「私もまぜて!」

「あ、ごめんねルシャちゃん。この人たちは私とハンマーさんの友達。強いんだよ?」

「私、ルシャ! よろしく!」

「ルシャちゃんだね、僕はバルス。よろしくね」

「シャワよ………よろしく」

二人が挨拶を済ませた時、それは起きた。

「大変だーー!! 空が! 空が!」

血相を変えた村人がこちらに走って来たのだ。

「ハンターさん! 空を見てくれ!」

「空?」

全員が村人の指差す方向を見る。

「……っ!」

ユクモ村で霊峰と呼ばれるこの辺りで一番高い山。
その頂に巨大な渦巻く黒雲が浮かんでいたのだ。

「……情報は本当だった、って訳かよ」

苦虫を噛み潰したような顔でフレアが呟く。

「情報って?」

「ギルド本部にある垂れ込みがあってな。そいつがどうも引っ掛かって調査に来たんだ」

チョモがそれに続けて口を開く。

「垂れ込み内容は『近い内にユクモに嵐竜が来るので討伐してほしい』ってのでね。まぁサボりもくて……ん゛ん゛! 調査に来てみたら村は平穏そのものでさ。てっきりガセだと思ってたんだけど……」

「古龍の出没予想なんて古龍観測所だって出来ねぇよ。……これは何かあるぜ」

「でも行くんでしょ? 会って間もないけど、二人とも眼がそう言ってるわ」

シャワはそう言うと「それに……」と続けた。

「ハンマーさんとアクアさんの知り合いなら尚更、ね?」

フレアとチョモは苦笑して答える。

「もちろん!」
「もちろん!」

「バルス、せっかくのユクモだけどまだ温泉に浸かる暇はないみたいね?」

「一番楽しみにしてたのはシャワだけどね」

「うるさい!」

「アクア、こっちは全員準備万端みたいだよ?」

みんなの視線を一身に集めたアクアは目を瞑り、すぅと息を吸ってから、大きく目を見開いた。

「大事な村なんです……! 皆さん! 私と一緒にこの村を守ってください!」

予告された古龍の出没。
不穏な空気を含んだこの依頼に、五人のハンターはいつもと同じ口調で答えた。


『一狩り行きますか!』

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Author:楽太郎
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