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ガイドポストは龍の調べ ~Lost memory´s~ 第四話

2012/11/25

この世界には数多くの伝説が存在する。


初めてハンマーという武器を使用し、それを広めたという老ハンターの話。

かつて老山龍の尾を切断したと言われる巨大な龍人族の長の武勇伝。

一人のハンターと協力し、一代にして交易盛んで豊かな村を築いた男の逸話。

自分達の狩りを自伝として公表し、時に泣き時に笑う内容で人々に希望と勇気を振り撒いた猟団の物語。

並べあげるとキリがないが、その中で何が一番有名かと聞けば誰しもが口を揃えてこう言うだろう。


『ココットの英雄』だと。



まだハンターという言葉が存在せず、人間が今以上にモンスターの脅威に脅かされていた時代。
ココット村で育った彼が3人の仲間と共にモンスターを狩ることを生業としたことがモンスターハンターの始まりと言われている。
一角竜の狩猟は単身のみで行うなどその技量は今のハンター以上とも言われており、今も彼はココット村の村長兼生ける伝説として存在しているのだ。

そんな彼が犯した、取り返しのつかない失敗が一つだけある。

――――――――――――

『ハンター』が職業として認められた後も彼と仲間の三人は村の為、ギルドの為に狩りを続けていた。
そんなある日、雪山に謎のモンスターが出没しているとの情報を知った彼らは、一緒に行きたいという婚約者のハンターを振り切れずに五人で狩猟に向かったのだ。
『自分達なら守れる』そんな考えが満身だと気付いたのはターゲットに出会った後であった。
今までに見たことの無いような激しい動きとパワーに奔放された四人は苦戦し、彼は重傷を負ってしまう。
動けない彼に迫り来る剛爪。絶体絶命の彼の前に飛び出したのは、他でもない、ハンターになって間もない守るべき婚約者、その人だった。

――――――――――――



【五人以上でハンターが狩りに出ると、死人が出る】

後に『ココットジンクス』と呼ばれるこの言い伝えは、このような悲しい事件が二度と起こらぬよう彼が提案したギルドの掟の数々と共に今も全てのハンター達に受け継がれている。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「今回、ココットジンクスのことは忘れよう」

「えぇっ!?」

アマツマガツチ討伐を決意して、一時間が経過した頃である。
各自が出来る限りの準備をして集会浴場に集まり、人数制限のことを思い出して慌てていると、遅れてきたハンマーがそんな一言を放ったのだった。

「で、でもギルドから許可が降りないんじゃないですか?」

アクアがそう言うことを分かっていたかのようにハンマーはチッチッと指を振る。

「私が何のために遅れてきたと思う? 論破してきましたよ! 当然!」

ハンマーが自慢気に鼻を鳴らす横でバルスが確かに、と頷く。

「あまり前例のない古龍討伐だけど、昔から古龍に関しては五人以上での狩りが認められるケースがあるね」

「でもどうしてかしら? 五人以上の狩りが認められないのは、ジンクス以前の問題に大人数だと指揮系統の乱れや混乱を招きやすいからでしょ?」

シャワの投げ掛けた疑問にチョモが顔を上げた。

「指揮とか、作戦なんか通用しないくらい強力だからじゃない? 考えてみ? ティがレックス相手にオルタロス4匹で何が出来ると思う?」

したり顔で言うも、シャワはその問いに疑問の表情を崩さない。

「……想像してみたけれど、オルタロスじゃ5匹どころか100匹いたって敵わない気がするんだけど……」

「あー例えが悪かったかも。でも私が言いたいのはそんな感じのこと」

「どんな感じだよ! チョモ……お前ギルドナイトのくせしてそんなことも分かってねぇのか?」

「うっさい! そう言うフレアは分かってんだろうね!?」

「あぁ? ったりめーだろ。いいか? まずクエストが四人までってのはハンター条約第一章の……で古龍が出没した時には第五章に書いてある緊急時における被害状況とその予測が規定値を上回るから………でまぁここで簡単に言えばジンクスとルールの逆転が起きるから五人以上でもいいってこと。わかるか?」

「全然?」

「分かりません……」

「私は分かるわ」

「僕も知ってる」

「私ってばいつの間にかそんな難しいことを論破してたのか……」

「皆何話してるの?」

「チョモぉ! お前より年下の子が分かってんぞ!?」

「うぐ……だぁーもういいじゃん! もう済んだ話を掘り返す男は嫌われるよ?」

「ぐ………」

ギロリとジト目で睨まれてフレアは渋々と本題に入る。

「各自温泉は入ったんだな? なら六人の許可はもう降りてんだ、後は霊峰に行ってアマツマガツチをぶっ倒すだけだ。ハンマーの言った通り今回はジンクスに縛られてる暇はねぇ! 死にたくなきゃその前に動くだけだ! 行くぞ!」

フレアの言葉にメンバー全体の闘志に火がつくのが分かった。

(おぉ、何かいつになく勇ましいね)

(一応ギルドの騎士団長だからね。士気上げんのは上手いのよ)

そうして六人はネコタクに乗り込み、暗雲立ち込める霊峰に向けて出発した。





     



「―――で、これはどういう事?」

ネコタクで運ばれた霊峰の麓。そこで発せられたシャワの言葉に全員が空を仰ぐ。

「どうしたの? みんな?」

「何でこの子が着いてきちゃってるわけ!?」

シャワの怒声にも臆さず、何も分かってない様子でニコニコとしているルシャを前に、他のメンバーはしどろもどろに言い訳を始める。

「いやぁ……僕も見覚え無い樽が積んであるとは思ってたんだけどね?」

「私はてっきり誰かの荷物だと……」

「お、アクアも? 私もそう思ってた」

「寝てた」

「私も」

ギルドナイトの二人は弁解すらしない。

まさかの七人目の登場に一同は混乱を極めたが、その時アクアが思い切って「皆さん!」と注目を集めた。

「もう敵は目前なんです。来てしまったものは仕方ないと思いませんか? ちょっと不安ですが、ルシャちゃんにはキャンプで待機してもらって討伐に向かうべきです」

敵の行動が分からない以上、決して安全とは言えないキャンプに一人残すのは危険極まりないが、それでも戦前に共に出るよりは安全だと思えた。

「確かにアクアの言う通りだ。もう戻ってる暇はないしね。ここで食い止めれなかったら村が危ない」

「ハンマーさん……ありがとうございます」

他はどう? というハンマーの視線に残りの四人も無言で首を縦に振る。

「ルシャちゃん、危険だからここから離れちゃダメだよ? 必ず戻ってくるから」

「アクアお姉ちゃん、ごめんなさい。私置いてかれたくなくって……」

涙目で謝るルシャを数回撫でると、アクアは山頂への入り口を睨んだ。

「パパッと終わらせましょう!!」


アクアの号令と共に全員が戦地へと足を踏み出した。眼には恐れはなく、狩人の光を灯している。

(こんなに頼りになる仲間……他にいませんね!)


自然と力が沸いてくる。
アクアは愛刀の柄を力強く握りしめた。





――――――――――





目の前が暗い。
体は鉛のように重く、節々に刺すような痛みが走る。


「う…………」

何とか体を起こし、痛みできつく絞られていた目を開ける。

腕、脚……何とか五体満足のようだ。

「皆は……」

アクアはポーチから回復薬グレートを取り出して飲み干すと、太刀を杖代わりに体を引き起こす。
他の仲間はまだ倒れたまま動いていない。

「早く、助けないと……!」

最低限の回復をしたアクアはまだ重い足を引きずって走り出した。
早く、早く。そうしないと、本当に殺されてしまう……っ!


アマツマガツチを初めて見た印象は昔の書物でみた天女であった。
ひらひらと帯のようなものを身に纏った神々しいその姿に一瞬心を奪われる。
しかし嵐龍の猛烈な敵意を含んだ咆哮に、相手が自分達の命を脅かす存在だと改めて気付かされた。

宙を泳ぐかの様な動きと捉えがたい攻撃に六人は苦戦しつつも、比較的順調に戦えていたと思う。
アクアとハンマーの連携にフレア、バルスの攻撃。そこにシャワの弾、チョモの笛による援護が入り、初めてとは思えない動きが出来ていたのだ。

誰しもが「いける」と思った時、異変が起きた。
嵐のような天候が更に黒々く、雷鳴轟く禍々しさに変わり、アマツマガツチ自体も同じような禍々しさをその体に現したのだ。

今までは遊びだったのだと思わせる激しい動き。
それについて行けずメンバーには次第に傷が深まっていく。
何とか回復する隙を見つけるべく立ち回っていた六人だったが、その時不意にアマツマガツチが天へと舞い上がった。

やっと隙を見せた! そう思い各自が回復薬へと手を伸ばしたとき、ハンマーの怒声が飛んだ。

「何かヤバイのが来る!! みんな避けろぉぉぉっ!!!」

次の瞬間、天より一本の水柱が地上に突き刺さり、そのまま山を切り裂いた。



     
結果的にハンマーのお陰で直撃は免れたものの、その後地面から吹き出した強烈な水流にアクア達は弾き飛ばされた。

それでも切り裂かれた岩や地面を見て、もし腕の一本でもあれに当たっていればと思うとゾッとする。

「ハンマーさん! 大丈夫ですか!? これを……」

ダメージで身動きの取れないハンマーに回復薬を流し込む。
薬も底を尽き始めていた。

「アクアさん! こっちは大丈夫よ!」

「こっちも! アマツマガツチは拘束弾で足止めしてある! 今の内に!」

「チョモさん! シャワちゃん!」

離れて支援をしていた二人は無事だったようで、それぞれがフレアとバルスの治療を行っていた。

「アクア……私はもう大丈夫」

「ハンマーさん!? ダメですよ! まだ体が……!?」

アクアは驚いて目を見張った。かなりのダメージを負っていたはずのハンマーがむくりと立ち上がったのだ。

「どうして……っ!? それ……秘薬ですか!?」

「あはは、なりふり構ってられないっしょ」

世の中にはハンターにしか調合、使用を認められていない強力な薬品が存在する。狂走薬や鬼人薬など、使い続けると体に悪い影響が出るものがそれに当たる。ハンマーの使用した秘薬という薬は、その中でも特に効果と影響が高いものだった。

「負けて後悔するより、勝って喜んだ方が何倍もいいでしょ?」

「……帰ったらお説教です!」

私たちは拘束の解けたアマツマガツチに猛然と挑み続けた。
巨大な竜巻を操りながら襲いかかるアマツマガツチの攻撃を躱し、時に庇いながら休む間もなく攻め続けた。
六人の体力はとっくに限界を通り越していたが、アマツマガツチの動きも段々と鈍くなっているのが分かっていたからだ。
どちらが先に倒れるか、終わりは確実に近づいていた。


――その時である。


「そこまでです」

私達とアマツマガツチの丁度間。
そこに何かが投げ込まれたかと思うと、突然目の前が激しい光に包まれた。

「閃光玉!? 一体誰が………っ!!?」

アクアの体に突然痺れが走り、そのまま倒れ込む。

(麻痺!? 今度は何が……!?)

目の前に古龍がいるというのにこのままでは自殺行為だ。
何とか状況を把握するために目の回復を必死で待ち、やっと視界が回復した瞬間、アクアは目の前の光景に言葉を失った。

「嘘………なんで………」

遠くでは目を回して暴れるアマツマガツチ。
目の前には同じく倒れて動けないであろうメンバー達。そしてその奥には二つの人影が立っていた。
一人は赤い衣を纏い、リノプロヘルムを被った人物。後ろには黒い布を巻いた大剣が背負われている。


そしてもう一人は……。

「……ルシャちゃん?」

「あい。皆お疲れさまー」

ニッコリと微笑む彼女の両手には、アイルーとメラルーを模した双剣が握られていた。

「どうして……? 一体何が……」

「あはは! どうしてって? お姉ちゃん達は利用されたってことにまだ気付かないの?」

「私……達を、利用?」

「うん。私を助けるとこから……むしろその前からぜーんぶね」

「! まさかあの垂れ込みはお前が……!」

怒りを露にしてフレアが怒鳴った。だがルシャはそれを楽しむように話し続ける。

人懐こい笑顔はもう浮かべていなかった。
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Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
楽しんで読んでもらえたら幸いですね
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