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ガイドポストは龍の調べ ~Lost memory´s~ 第六話

2012/11/28

「マリアンさん。今でも、ギルドからハンマーさん宛に沢山の手紙が届くんです。ある村から、街から、家族から……文字で手紙が真っ黒になるほどの内容で。マリアンさんが言った疑問を持ったこともありました。でも手紙を一つ一つ読んでみて『あぁ、もうこの人達は大丈夫だ』って思えたんです。ハンマーさんが関わった人たちは、悪人だろうが何だろうが全員が最後には笑っていました」

そして私も……、とその言葉は心の中で呟く。

「……何だか白けました。ルシャ、何時まで寝てるんですか? 帰りますよ」

「うぅ? ……あい」

ルシャはアマツマガツチの中からよじよじと這い出ると、空高く音爆弾を投げつけた。普通のものよりも若干低い音が山に木霊する。

「さて、ギルドの狗さん。正義の名をかざすなら、是非とも世界を救って貰いたいですねぇ」

「それを言うためにわざわざ呼んだって訳じゃねぇだろ……何が目的だ」

と、睨むフレアにマリアンは冷笑を向けて言う。

「別に理由を言おうが言うまいが、貴方達は備えるしかない……そうでしょう?」

「アンタねぇ! あんまギルド舐めてるとただじゃおかないよ!」

「寝たまま言われたんじゃ脅しになりませんよ」

「ぐっ……」

それを言われるとチョモも流石に押し黙ってしまう。毒を受けて10分は経つはずなのに、まだ体はピクリとも動かない。ブナハブラの麻痺とは比較にならない程強力で、部分調整の利く毒。医療を専攻しているチョモにはこれがどれだけ有り得ないものかを分かっていた。

「あ、お姉ちゃん達。その毒はもう少しで抜けるからご心配なく! ……あ、マリさん来たよ!」

バサリ、重たい音が山脈の奥から聞こえてきた。

「バルス! 後ろから何か来るわよ!」

「羽音……それも大きなものだね」

山々の間から、赤い点が近付いて来るのが分かった。

「リオレウス!? みんな気を付けて!」

「バルス……また刺々しいのが突っ込んで来たんだけど……」

「どうにもこうにも……」



「うわっ!」
「きゃ!」

赤い羽音の主はバルスとシャワの上すれすれを通過し、ルシャの前へと降り立った。

(良かったね……)
(良かったわ……)

「ありがとうねクク。もうひとっ飛びお願い!」

「コココココ」

そう声を漏らしてルシャに撫でられているのは、巨大なイャンクックであった。

「でか……」

「間違いなく金冠サイズだね……立派な個体だ」

マリアンは慣れた手つきでイャンクックの背に飛び乗ると、六人に向かってと不思議な言葉を口にした。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

数多の龍を駆遂せし時
伝説はよみがえらん
数多の肉を裂き 骨を砕き 血を啜った時
彼の者はあらわれん
土を焼く者
鉄【くろがね】を溶かす者
水を煮立たす者
風を起こす者
木を薙ぐ者
炎を生み出す者
その者の名は ミラボレアス
その者の名は 宿命の戦い
その者の名は 避けられぬ死
喉あらば叫べ
耳あらば聞け
心あらば祈れ
ミラボレアス
天と地とを覆い尽くす
彼の者の名を
天と地とを覆い尽くす
彼の者の名を
彼の者の名を

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


それは古い、古い伝承。

「マリディア、そしてアクアさん。世界を守りたいと言うなら抗いなさい。舞台が揃うのは二年後の今。その時、世界の何処かで破滅の産声が上がるでしょう」

マリアンはそれだけ言うとルシャに出発を促した。

「あい。じゃ、お姉ちゃん達! 騙して御免ねー」

ルシャはニッコリと笑うとククと呼んだイャンクックの背中を叩く。

「クエェー!」

バサリ、と巨大な羽音と風圧を巻き起こしながら大怪鳥は空へと舞い上がり始める。
その時、上から再び冷たい声が聞こえてきた。

「あと一つ、言い忘れたことがありました。バルス と言いましたね? 貴方の過去は『あること』の代償として失われています。それを無理に掘り返せば、出てくるのは契約の不履行……記憶の代償に得たものは泡となる。そのことを覚えておいてください」

「あることの……代償? それは一体………っ!」

しかしバルスの問いはイャンクックの風圧に掻き消され、気が付くと二人は飛び去った後であった。




沈黙。



アマツマガツチが討伐され、晴れ渡る空の下では麻痺が解けて動けるようになった六人が押し黙っていた。


突然知らされた、自分の謎。

破滅までのカウントダウン。

仲間の過去。


ルシャ、マリアンのこと。

それらが交差し、誰もが言葉を出せなかった。



「一つ……謝らなければいけないことがあるわ」

初めに口を開いたのはシャワだった。

「私、会った時からルシャに違和感を感じてたの。自尊に聞こえるかもしれないけど、私より年下のハンターの話なんてギルドで聞いたこと無かったの。いるとしたら不正規のハンター……でも確証が無くて……ごめんなさい」

「大丈夫だよシャワちゃん。結果的に怪我人は一人も出なかったんだ。それにあの状況じゃ私やフレアが絶対に飛び出したし、返り討ちにあったと思う。痺れてて良かったよ!」

落ち込んでいるシャワにアハハ! と笑いかける。

「チョモ……無理すんな。お前もあんまし余裕ねぇだろ」

「だって……」

チョモは傍らで座ったまま俯く友人を見る。

「皆、聞いてくれ。さっきの話のショックに狩猟の疲れもある。ひとまず村に帰ろう」

フレアの言葉に促され、皆が帰還の準備を始めた。

「………っ」

ハンマーもおもむろに立ち上がるが、足がふらつくのかバランスを崩してしまう。

「ハンマーさん! 大丈夫……ですか?」

心配そうな顔を浮かべるアクアにハンマーはニコリと微笑んで言った。

「さっきはありがとうね、アクア。ごめん……でも頭ん中ぐるぐるしちゃって。……先に帰っててくれないかな? ちょっとしたら村に戻るから、さ」

「ハンマーさ……」

「アクアちゃん。……今は一人にさせてやって」

「そう……ですね」

一人で歩いて行ってしまうハンマーの背中をアクアとチョモは不安気に見続けた。







後になって彼女達は後悔することになる。
この時、無理にでもハンマーを連れて帰るべきだったと。




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モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
楽しんで読んでもらえたら幸いですね
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