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ガイドポストは龍の調べ 第三話

2012/10/19

ー異変の兆しー


「ホントですか!? 是非見せてください!」

「よっしゃ、ちょっと待ってて!」

勢いよく席を立つとハンマーは二階へと駆け上がって行った。その後しばらく激しい物音が二階から響き、(何故か)埃まみれになったハンマーが一枚の額縁を持ってきてくれた。

「ごほっ…お待たせ。これが『クシャルダオラ』だ」

「これ……っ! ハンマーさん、間違い無いです! こいつがお父さん達を…………!」

絵を見るなり、アクアは目を見張って声を上げた。

「……やっぱりか。でもね、クシャルダオラを含めた古龍の目撃例ってのはかなり稀なんだよ。敵(かたき)を打つにしても、しばらくは情報待ちになると思う」

「そんな……。せっかく正体が分かったのに……」

アクアの目に焦燥が色濃く浮かぶ。

「でもね、せっかく情報が入ってもHRが高くないと古龍のクエストは受けれないんだ。だから暫くはHR上げを兼ねてこっちの環境に体を慣らしていこうよ」

どんなに実力があろうと今のアクアのHRは1。
これではまともなクエストに行けない……HR上げは重要な問題だった。

「確かに……そうですよね」

ハンマーの説得にアクアは次第に落ち着きを取り戻していくのが分かった。
いい子だな……とハンマーは心で呟き、今後の話を切り出した。

「焦るのは一番よくない結果を招くからね……あと、アクアにはアクアの中にある『力』の制御がもっと必要だと思うから、それもやっていこう」

「確かに……やっぱりハンマーさんに危険がある以上は1人で……」

「まーたそうやって。私はこれでもG級ハンターなんだから! ドンと恋っ!って感じ!」

「なんか変換……違ってません?」

それからアクアは毎日ハンマーとHR上げと『力』のコントロールを兼ねてクエストをこなし続けた。

もちろん、初めは上手くいかなかった――



□砂漠

「アクア! アクア!!」


「………っ!!!」

ハンマーの呼び掛けも効果無く、アクアはダイミョウザザミに特攻を仕掛ける。

(確かに凄い強さだけど、こんなに無鉄砲に突っ込むだけじゃいずれ危険になる……体の負担も大きいし、早く何とかしないと……)

「あ、そだ」

そして閃いた。


「アクア! ごめん!」



ハンマーは自分の愛鎚を天高く振り上げていた。



ガッツン!



鈍い音と共にハンマーの一撃(弱)がアクアの頭部に炸裂した。



「いったぁぁぁぁぁぁ!?」



頭に巨大なたんこぶを作ったアクアが目に涙を浮かべながらギッ!とハンマーを睨む。

「何するんですか!? 一歩間違えたら死んで………あ、私また……」

「眼が覚めた? ショックにはショックってね! 意識飛んだら私がハンマーで起こしてあ・げ・る」

「うぅ……ショックの意味が違うような気が……でもお願いします!」

「よし、任された。じゃあもっかい頑張ろう!」

「はい!」







「………」


「おーいアクア?」


「………」


「………」


ガツン。


「~~~~っ!? 星がっ! 星がぁ!」



「体で覚えるんだ!!」


「やっぱり急になんて無理ですって!!」





……そして1ヶ月後




ー酒場ー


「あの時は地獄でしたね…………」

アクアがげんなりとした表情でぼやいた。

「よく頭の形が変わりませんでしたよ……」

「ま、まぁそのお陰で今があるんだから!」

ハンマーは飲み物を差し出しながら明るくごまかす。

現在のアクアのHRは6。G級の一歩手前まで上がっていた。

「永久に記憶を失いそうになったりもしましたけどね……」

「あぁ……あの時はちょっとヤバかったね」

しかし特訓の成果はそれに見合う以上にあり、アクアは狩りの最中に意識を失わず、さらに高い身体能力を維持出来るまでに成長していた。

意識が保てるようになったお陰でハンマーとの連携も取れるようになり、連鎖的にクエスト達成のスピードも上がって、僅か1ヶ月という早さで上位の最高ランクにまで登り詰めたのである。

ハンマーの力を借りながらだが、今度はちゃんと『自分』の意思と力で。
アクアはそれがどうしようもなく嬉しかった。

「後はシェンガレオンを倒せば、晴れてG級の仲間入りですね!」

シェンガレオン……超特大の甲殻種で砦などを襲う危険生物。
倒せば莫大な功績を上げることができ、それがG級へと昇格するための条件の一つである。

「そうだね! サクッとやっちゃおうか!」

「簡単に言わないで下さいよ。第一いつ来るかも……」

「ごめんなさい、ちょっといいかしら~」

二人の会話を遮る形でギルドマネージャーが話しかけてきた。
どうやら急用のようである。

「ギルドマネージャーじゃん。どうしたの?」

「実はね~、各地で通常種よりかなり凶暴性の高いモンスター達が出始めたの~。被害は甚大。ギルドのハンターが各地に駆けつけてるわ。あなた達にも協力して欲しいのよ~」

「ええっ!」

「……一体どういうこと?」

急な知らせに二人にも緊張が走る。
しかし当のギルドマネージャーも困ったような顔で頬杖をついた。

「それがまだよく分かってないのよ~。ただ重傷を負ったり帰って来ないハンターが多いから十分に気を付けてね~」

「わかった! すぐに準備するよ。行こうアクア!」

「はい!」

「あ、後ね~興味深い話を聞いたの」

立ち上がった二人にギルドマネージャーが再び声をかけた。

「何ですか?」

「凶暴化したモンスターの種類は飛竜種や甲殻種、牙獣種と様々だけど~、それらのモンスターの目撃地にわずかだけど古龍の反応もあるらしいの」

『!?』



話はそれで終わったが、二人の中では『古龍』という言葉がぐるぐると渦巻いていた。




ー雪山ー

「やっぱり凍土とは大分気候が違いますね」

「ま、山の天気は変わりやすいっていうからね」

二人はギルドマネージャーから受けたクエストで雪山に来ていた。

「しかし……相手は『フルフル』ですか」

フルフルとは雪山など寒い環境に住む飛竜で、洞窟を好んで棲んでいる。
光の無い場所で生活している為、嗅覚が発達しており、代わりに眼が退化して無くなっている。
それに加え、伸縮性のある首や、ほぼ口だけの頭という不気味な風貌をしているために、気味悪がるハンターは多い。

アクアもそれに漏れず、凄く嫌そうな顔を浮かべてため息をつく。

「ま、確かに不気味だよね。でもそっちにも似たような奴がいるんでないの?」

「こっちにも『ギギネブラ』がいますが……まだ眼みたいなのがありますからね。フルフルに比べたら可愛い気があるってもんです」

「でも頭が二個あるように見えるし、上からでかい口で吸い付いてくるんだったよね? 私はそっちのが嫌だけどなぁ……」

そんな二匹が一部の女性に高い人気を博しているという事を知り、二人が衝撃を受けるのはまだ先のことである。

「まぁ、我が儘も言ってられませんからね。嫌な敵はすぐに倒しちゃうに限ります」

「だね。寒いし、早く帰って暖かいものでも食べよっか」

そう話しながら進んでいくと、フルフルが棲んでいるであろう洞窟へと辿り着いた。

「……ギルマネの話からすると、普通の奴より相当手強いと考えた方がよさそうだね」

「そうですね……。引き締めていきましょう」

無駄話はピタリと止み、二人の眼はすでに狩人の眼になっている。

「………確実に何かいるね」

「その様ですね……」

二人は警戒しながら、松明がなければ先の見えない洞窟の奥を散策したが、生き物一匹見当たらない。
洞窟は確かに異常を物語っていた。

「でもフルフルの気配もありませんね……」

「仕方ない、場所を変えて……しっ!」

ハンマーが何かを察知する。

「………来ますね」

「うん……」

暗い洞窟の壁を伝って歩く音、近付いて来る息づかいが聞こえてくる。しかし薄暗い洞窟ではその姿を見つけることが出来ない。

段々と近付いてくる音に二人が集中して構えていると、不意に音がピタリと止んだ。


「………」

「………」

辺りには不自然な程の静寂が漂っている。





パラッ……

と氷柱の欠片がハンマーの頭に当たった。

「!」

ハンマーがハッと真上を見上げて松明をかざす。

「アクア、上だ! ……えっ!?」

「そんな―――っ!!?」


頭上に張り付く不気味な影が松明の明かりに照らされる。
そこには今まで見たこと無いような巨大なフルフルがいた。
まだ見たことは無かったが、いわゆる金冠サイズで間違い無かっただろう。

「「ギャオオオオォォォ!!!!」」


「――――っ!」
「――――っ!」

高級耳栓を軽く貫通するほどの咆哮を上げた『そいつ』は地響きを起こしながら地面へと降り立った。

「流石に規格外過ぎるでしょこれ……!」

「嘘……こんなの見たこと無い……」

バチバチっ! という音と共に口に電気を溜め込んだ『そいつ』は咆哮で固まっている二人に向かって、8方向にも分かれる強烈な雷撃を吐き出した。

「やばい! 避けて!」

「……くっ!」

二人は電撃避けながら、もう一度『そいつ』を確認した。

「グルルルル……」
「グルルルル……」


「……こいつはアクアの好きそうなフルフルだねぇ」

「……そのようで」

見間違いではない。

そのフルフルには確かに首が『二つ』付いていたのだった。





     





「「ギャオオオオォォ!!」」

「ぐっ……!」
「うぁ……!」

二匹が同時に仕掛けるバインドボイスは凶悪な威力を誇り、食らった二人は完全に硬直させられていた。

そんな二人に向かい、フルフルは再び口に白い光を溜め始め、そして放つ。

強烈な咆哮を喰らった二人は、向かってくる電撃を前に動けないでいた。

(まずい! 早く避けないと!)

ハンマーは必死に体を動かそうとしたが、体は動こうとしない。

これまでか…… そう思った時、上から降ってきた氷塊が上手い具合に体に当たり、そのショックで体の自由が戻った。

「アクアァ!」

「ハンマーさん!!?」

ハンマーはまだ動けないアクアを大鎚でかちあげると、自分も電撃の回避を試みた。

しかし、

「うっ……くそ!」

僅かに遅く、電撃がハンマーの足をかすめる。
ダメージは軽かったが高密度の電撃に足が麻痺を起こして地面に倒れ込んでしまった。

フルフルが体を低くさせ、飛びかかりのモーションを取る。

「………っ!」

ハンマーはまだ痺れる足を引きずって回避を試みるが明らかに間に合わない。

あの巨体でのボディプレス……喰らったらひとたまりもないだろう。



死の気配が近くまで忍び寄ったその時。




「だぁぁぁぁ!」

アクアが無我夢中でフルフルに斬撃を加えた。

「「ギャオォ!!」」

急所を捉えた攻撃にフルフルの注意がこちらに向く。
その隙に、何とか痺れの取れたハンマーは体制を立て直した。

「ありがとうアクア! 咆哮とブレスのコンボは思った以上に厄介だ……奴の正面には立たないように立ち回ろう!」


「了解です!」

しかし、こんなモンスターとの戦闘経験がない二人は苦戦を強いられた。

フルフルの頭を叩く方法は熟知していたハンマーだったが、頭が2つとなると大分勝手が違うようで、頭に上手く攻撃出来ずにいた。

「アクア! フルフルは足が脆い! 二人で集中攻撃して転倒を狙うよ!」

「はい!」

二人は転倒を狙って足元を攻撃し始めたが、フルフルもそれを察知して攻撃を激化させる。

片方が叫んで動きを止め、もう片方が攻撃をする。

そんな極悪コンボを二人は紙一重でかわしていく。

すると遂にフルフルの足が限界を迎え、体を地面に打ち付けた。

「今だ!」
「今です!」

掛け声と共にハンマーはフルフルのくねらせる頭二つを、驚異的な破壊力を持つハンマーで殴り付け、アクアは戦闘中に練った気を爆発的な攻撃力に変え、斬撃の嵐をフルフルに見舞った。
太刀使いだけが使える大技『気刃切り』である。
アクアの剣技はユクモ流なので最後に巨大な円を描く『気刃大回転切り』を加えて放った。

「私らのターンはまだ終わらないよ!」

そしてフルフルが起き上がろうとした瞬間にハンマーが上手くスタン(気絶)を取り、スタンが解けたら即座にアクアが落とし穴を展開させて落とす。

見物人がいたら見惚れてしまいそうな程の流れるような連携が決まっていた。

が、フルフルも異常な程のタフさを発揮していた。
通常の個体ならとっくに倒れているダメージを負いながらも力強い抵抗を続けていた。

「どんだけタフなんだよ!」

「ハンマーさん! もうひと頑張りです!」

アクアがすかさず声をかける。
二人が狩りを共にして一月以上。お互いが集中を切らさないよう働きかける、理想の連携が生まれていた。

「オッケー! でもこっちも限界が近い。気合いで持ちこたえるよ!」

「はい! 全力で畳み掛けましょう!」

ハンマーとアクアはそれを合図に全力の猛攻を繰り広げた。

そして、



「「ギャォォォ…………」」

洞窟に響く断末魔と共に、ズシン! と音を立てて巨体が氷の床に沈む。


「……ふぅ」

「何とかやりましたね……」

二人は同時にペタリと座り込んで、掴み取った勝利を喜んだ。

「さ! 剥ぎ取りを始めましょう!」

「そうだね!」


狩人の一番の楽しみ、剥ぎ取りタイム。

もしかしたら新素材が手に入るかもしれません! とアクア達は張り切って剥ぎ取りを始めた。


「ハンマーさん! これは一体……?」

しかし……期待は予想外の出来事に塗りつぶされた。



「嘘……。これは……ありえないでしょ」



アルビノエキスを取ろうとしたアクアが、驚愕の表情でハンマーに見せたもの。

それは熟練ハンターでも手に入るか分からない貴重なものだった。
並みのハンターなら教科書でしか見ることが出来ずに生涯を終えてもおかしくない代物。

本来なら飛び上がって喜んでもおかしくはないのだが……。


「……これは早くギルドに報告しないとね」






『飛竜』フルフルから取れたもの。
それは『古龍』の血であった。
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Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
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