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ガイドポストは龍の調べ 第四話

2012/10/20

-鋼龍の影-



人間や竜の血とも違う不思議な色をした液体
――『古龍の血』

二人はそれを持って雪山を後にした。


ーギルドー

二首のフルフルから取れた『古龍の血』をギルドへ持ち帰った二人は、ギルドマネージャーに呼び出されていた。

「こんちわ―」
「失礼します」

「いらっしゃい~。こっちに座って~」

ギルドマネージャーは部屋にやって来た二人をのんびりとした口調で迎えた。
しかし顔は至って真面目なので、素でこんな口調なのだろう。

「それで……話って何でしょうか?」

「あのフルフルのことで何か分かったの?」

そんなに急かさないで~、と言いながら彼女は二人にお茶を出し、お茶を一啜りしてから本題に入った。

「実はあなた達が戦ったフルフルのように突然変異したモンスターの目撃情報が各地から来ているのよ~。討伐したハンター達によると、その全てのモンスター達から『古龍の血』らしきものが取れたそうよ~」

「!?」

危なく吹き出すところだ。
お茶なんか飲んでられないほどの緊急情報だった。

「じゃあこの前言ってた『狂暴化したモンスター』ってのは全部あんな奴等だってことか……」

あの強さはG級にも引けを取らなかった。
多くのハンターが返り討ちにあったのも納得できる。

「では『古龍の反応』っていうのは変化したモンスターの血から出ていたってことなんですかね?」

「多分そうだと思うわ。だから古龍観測所ではそれらのモンスターのことを『古龍化』したと呼んでいるの。古龍の血が取れるんですもの~。確かにもう古龍よね~」

「んん……クシャルダオラ探してる時になんて紛らわしい……」

「確かに……」

あ、それなんだけど~ とギルドマネージャーが付け足すように口を開いた。

「古龍といえば、最近クシャルダオラの目撃が増えてきていの~」

「クシャルダオラの!?」
「クシャルダオラのですか!?」

二人はその言葉に激しく反応した。

「でもその場所がねぇ~……通常の個体よりも広い範囲で目撃されてるのよ~」

「広い範囲で?」

ハンマーが眉をひそめる。

「普通のクシャルダオラなら雪山とか砂漠で、珍しくても密林でしょう~? なのに今回は沼地や樹海、森丘でも目撃されちゃってるのよね~」

「それは確かに広すぎるな……」

ハンマーは何か考えるように首を捻る。

「クシャルダオラが今どの辺にいるかは分かってるの?」

「まだ分からないわ~。今回は異例の行動範囲の広さでしょ?流石の観測所でも追いきれてないの~」

「……あのさ、ちょっと頼みたいことがあるんだけど」

ハンマーが思い立ったように話しかけた。

「何かしら~?」

「『古龍化』したモンスターの出現地域を確認できるだけ全部教えて欲しいんだ」

「ん~あなたの頼みだしね。企業秘密だけどいいわ~」

ハンマーはギルドマネージャーから出現情報を細かく教えてもらうと、しばらく考察し、やっぱり…… と呟いた。

「古龍化したモンスターの目撃場所は、雪山や砂漠を始めとして徐々に沼地や森丘にも広がってる。これはクシャルダオラの目撃情報と一致してるんだ」

だから とハンマーが続ける。

「理由は分からないけど、クシャルダオラの出現はモンスターの古龍化に関係してると見て、間違いないんじゃないかな」

「クシャルダオラが古龍化の原因……!?」

アクアは驚きを顔に浮かべながら、ハンマーの話に聞き入る。

「そしてこの考えが当たってるなら、次にクシャルダオラが向かう場所には見当がつく」

「本当ですか!?」
「え~本当~?」

アクア達が驚いた声を上げる。
ギルドでも把握出来ていないことだけに期待が高まる。

「うん。この二つとクシャの移動法則を関連付けたら簡単なことさ。古龍化したモンスターもクシャルダオラも、まだ火山では目撃されていないんだよ。だからクシャルダオラは近い内に火山に『何か』をしに行く可能性は十分にあると思う」

「なるほど~観測所にも話を伝えて来るわね~」

そう言って、ギルドマネージャーは(やや)駆け足で出ていった。

「……ハンマーさん!」

アクアが強い声でハンマーの名を呼ぶ。

「分かってるよ、アクア。じゃあ準備しようか! 火山での対決に向けて!」

「はい!」

二人はそう言うと勢い良く立ち上がった。


          


夜、火山へと向かう準備を終えた二人は明日に備えて早めの就寝をしていた。

「ふぁぁ………ん?」

深夜、ハンマーがふと眼を覚ますと、隣のベッドにアクアが居ないことに気が付いた。

(こんな時間にどこへ……?)

心配になり彼女を探すと、彼女は2階のベランダにいた。

「アクア、どうしたの? 風邪引くよ?」

「わ!? ハンマーさん……」

ビクリと振り返ったアクアが暗く思い詰めた顔をしていることに気付き、ハンマーの頭は一瞬で目を覚ました。

「一体どうしたの? こんな時間に……」

「ちょっと考えてしまうことがあって……」

アクアの声はとてもか細く、今にも消えてしまうのではないかと思うくらいに掠れていた。



「……ハンマーさん、ギルドでクシャルダオラがモンスターを凶暴化……古龍化させてるって言いましたよね?」

「……まだ推測だけどね」

「私も……そうなんでしょうか?」

「!」

そう言った彼女の肩は暗い中でもはっきりと分かるほど震えていた。



その可能性は確かに、ある。





「もしあの時のクシャルダオラが今回の奴なら……私の中にも古龍の血が入ってしまってるんでしょうか!? そうだったら私は………!」

「アクア!」

「!?」

ハンマーがアクアの肩を抑えるように抱き締めて力強く叫んだ。

「心配しない! アクアには体に異変は無いんだから! ……もし仮にそうだったとしても、影響は薄いんだ。それにアクアはもう自分の力を抑えられるじゃん!」

「でも元凶のクシャルダオラに会ったらまた………」

「私はアクアのことを信じてる。それに本当にクシャルダオラが原因だったら、そいつをぶっ倒せばアクアも元に戻るかもしれない! 一石二鳥じゃんか!」

もう一人じゃないんだから、一人で考え込まないでよ……、とハンマーはアクアを優しく撫でた。

「ハンマーさん……ごめんなさい。私また下向きに考えて……痛っ!?」

俯こうとしたところを思いっきり叩かれた。

「さあさあ! 明日はもう出発なんだから弱気になってる暇は無いよ? もし影響を受けたとしても、また今みたいに叩いてあげるからね~」

ニッと(物騒なことを言って)笑いかけるハンマーにアクアもつられて笑ってしまった。

「ふふ……ちゃんと手加減してくださいね?」

やわらかい月の光が応援するかのように、二人を優しく照らしていた。



     


早朝、日がまだ昇りきらない内に二人は家を出ていた。
火山へのは道は遠く、ネコタクを使ってもかなりの時間が掛かってしまう。

ハンマーがネコタクの予約をギルドに申し込んだのだが、『古龍化』モンスターの討伐に多くのハンター達がネコタクを使っていたので、こんな早朝のネコタクしか残っていなかったのだ。

しかし他にも理由があった為、それはむしろ好都合といえた。

「いやぁ~……早朝はやっぱ……眠いねぇ……」

ハンマーが眼をショボショボさせて言う。

「昨日の元気はどこ行ったんですか……。全く! 『今更眠気なんかに負けられるか―!』ってトランプなんか始めるからですよ! ……ふぁ……私も少し眠いです……」

「あはは、アクアったらだらしないねぇ! それでも女の子?」

「どの口が言ってるんですか!?」


「おやおや、こんな朝早くから元気にどこへ行くんだい?」

「!?」

二人が村の出口に差し掛かった時、不意に横から声をかけられた。

慌ててその方向に視線を飛ばすと、なんと村長がいつもの場所で焚き火に当たっていたのだ。

「あちゃ……村長……また今日もお早いんだから」

「お……お早うございます……村長」

村長はにっこりと笑い掛けながら(ただし目は笑ってない)、「待っていたよ」とやわらかな声で言った。

「火山へ風翔龍を討伐しにいくそうだねぇ」

「やっぱり知ってたか……」

「村長さん、耳が早いですよ……」

「わたしゃ、これでも村長だからね」

しわだらけの顔を更にくしゃくしゃにして村長は得意げに笑った。

今までは様子の違うクシャルダオラだから、多数のハンターで迎え撃とう、という提案があったのだが、もし相手がそれに気付き、逃げられてしまうと今度こそ場所の特定が困難になってしまうとハンマーが提案し、わずか二人という少数精鋭で討伐に向かうことをギルドに納得させていたのだ。

――アクアもケリは自分でつけたいでしょ? ……それにもし暴走しても私だけなら平気だしさ!

と本当の理由を教えてくれたハンマーに感謝したのは、昨日の夜のことである。

――だから二人は村の人達に心配を掛けないように、ギルドだけに話を通して討伐に向かうつもりでいたのだ。

「私が代表して見送らせてもらうよ。なぁに、あんた達はこの村の自慢のハンターだからね、安心して見送れるよ」

「村長さん……」

「へへっ、こりゃあ頑張らないとね!」

そして村長は「そうそう」 とアクアの方を向き、そばに置いてあった小包を差し出した。

「村長さん、これは?」

アクアが不思議そうに受け取った小包を見つめる。

「これはユクモの村長からあんたに渡してくれ と届いた物だよ」

「ユクモの村長から!?」

思わず小包を落としそうになる。

「とりあえず開けて御覧よ」

「は……はい」

村長に促され、小包を開けるアクア。

「これは………!」

小包に入っていたのは綺麗に磨かれた一振りの小太刀だった。

「お……お父さんの武器!? 無くなったと思ってたのに……どうしてこれが?」

アクアは形見の小太刀を見つめた。
今ならこの武器の価値が分かる。
片手剣の中でも最高クラスの武器――小太刀【砂凪】。


「ユクモの村長がボロボロになったそれを発見して、加工屋に頼んで鍛え直してもらったんだとさ。でもその武器は特殊だからね。直すのに今まで掛かってしまったと言っていたよ」

「村長が……そんなことを……」

小太刀【砂凪】には『龍属性』という特殊な属性が宿っている。

『龍属性』は『火』、『水』、『雷』、『氷』の4属性や、毒や麻痺などの状態異常の属性と違い、加工屋の手では容易に付加出来ない未知の属性である。

古龍や一部の飛竜が苦手とする成分を含んでいるらしく、主に地中から発掘された太古の武器に宿っていることが多い。ギルドでは古龍と共に大きな研究対象になっている。

「……私が村を出るとき、唯一止めてくれたのが村長でした。でもあの時の私は村長のことも信じられなくなってて……あんなに冷たく振り切って来たっていうのに……」

アクアの頬を何粒もの滴が流れる。
母親のように思っていた。でも見放されたと勝手に思っていた。
もう二度と会えないと思っていた。

でも……

「一段落着いたら、手紙でも送ろっか」

「……そうですね」

――必ず

そう誓い、アクアは父親の形見を腰に差すと、愛用の太刀を背負う。

「じゃあ行ってくるよ」

「必ず戻ってきますから」

「あぁ、待ってるよ」

二人は頭を下げ、再び足を踏み出そうとした。



――すると


「おーーい! 二人とも!」

「絶対に無事で帰ってくるんだよ!」

「あ! いつもは何かと仲の悪い加工屋のおじさんと雑貨屋のおばさん!」

「お姉さんでしょ!」
「お兄さんだろ!」

もう結婚してしまえ と思う。

それを合図のようにゾロゾロと村人が集まり、口々に激励の言葉を投げ掛けた。

「ハンマーさん! 飲み代のツケ残ってますからね!」

「アクアちゃん! 頼んだぞ!」

「ハンマーさん! 今度はドリンク間違えるなよな!」

「アクアちゃん! 手を振ってくれ! ありがとう!」

「おやおや……結局出てきてしまったのかい。全く……こういう旅立ちは静かに行うもんじゃというのに……」

ブツブツと言いながらも村長の顔は笑っている。

「皆さん……ありがとうございます!」

「パパッと片してくるからね!」

(ここにも、こんなに私の味方がいる……)

胸がギュッと熱くなる。


(にしてもアクアとの差は一体……?)


一方ハンマーは拳をギリリと握っていた。



村人全員の見送りを背に、二人は改めて火山への一歩を踏み出す。


「やばい! ネコタクの時間ギリギリだ!」

「えぇ!? とにかく走りましょうハンマーさん!」

「ちょっ!? 待ってよアクアぁ!」

「全く慌ただしい娘達じゃのぅ……」

走り出した二人を見てそう呟きながらも、焚き火に当たり直した村長の顔はニッコリとほころんでいた。


      
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Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
楽しんで読んでもらえたら幸いですね
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