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ガイドポストは龍の調べ ~Last Guidance,~ 第三話

2013/03/12

気球船が村に着陸してから数分。

異変はすぐに分かった。



「んしょ……っと」

まず、気球船から飛び降りたのはシャワちゃんでした。
前と同じ黒色ブナハのスカートを軽く押さえ、梯子も使わずに猫のようにしなやかな着地をしてみせた彼女。

史上最年少のG級ハンターで、イーゼンブルグ家の当主。

そんな物凄い肩書きを背負いながらも、私よりも年下でしっかりしている女の子。

私の目の前に降り立ったのはそんな頼もしい友人だった。

「久しぶり、アクアさん!」

二年ぶりに聞いた声は、変わりなく透き通った色をしていた。
落ち着いた物腰で隣にいたハンマーさんとも会釈を交わし、申し訳なさそうな顔を浮かべる。


「遅れてごめんなさいね。少しアクシデントがあって、しかもドンドルマはもう巨龍、巨龍の大騒ぎ……抜け出すのに苦労したわ」

「向こうは……そうでしょうね」

突如として現れたであろう2体の巨龍。
それが向こうの人々にどのような混乱を招いてるか、考えただけでも恐ろしい想像が出来てしまう。


「それにしても……まさか気球船で来るなんてビックリしましたよ」

「あら、聞いてなかったの?」

「え?」

「ハンマーさんったら相変わらずね……」

「あはは! 誉めないでよもう」

何故か照れ笑いするハンマーさんに対し、呆れながら苦笑いするシャワちゃん。

この二年で一番、いい意味で変わったのは彼女かもしれない。

「酷いですよハンマーさん。分かってたなら教えてくださいよ」

「えー、だって驚かせたいじゃん? ねぇ?」

「……私をグルにしないで欲しいわ」

「アンさん並みに冷たいよ!?」


もはや『どっちが年上か?』なんて問われても、身長以外に言い張れる部分が無いかもしれない。

……いや、身長もかなり迫られている。

だとするとスタイルとかの勝負に――って私は何を張り合ってるんだろう……。


「あっれぇ!? もしかしてシャワの姉ちゃん!? どうして気球船なんかから!?」

私がそんなことを考えていると、それをまるごと吹き飛ばすような声が後ろから響いてきたのだ。


「ヨルヴァ!? 凄い久し振りじゃない! ……背は伸びてないようね」

「せ、背はどうだっていいだろ!? でもかなり逞しくなっただろ?」

「うーん……まぁそうねぇ。とりあえず元気にはしてたみたいね」

「もちろん! お陰で元気も元気さ! ようやく仲間も出来てさぁ――」


驚いたことに二人は知り合いのようだ……一体いつ知り合ったんだろう。


「――ってそういえばバルスの兄ちゃんは? また殴られて寝込んでるとか?」

「今回は違うわよ!」

……ホントにどんな知り合い方したんだろう。

「……んん、まぁそうだったら良かったんだけど……」

困惑したように顔を曇らせ、気球船を見上げるシャワ。

「『あれ』、どうしたらいいか……」


――ここで冒頭の話に戻ります。

「……え?」

「何だ……あれ?」


気球船を囲んでいた村人の中でもざわめきが大きくなる。
気球船の梯子を伝って降りてきたのは、謎の生物だった。

鮮やかな青と黒のストライプ模様をした身体、そして赤いトサカを頭部に生やした、人のようなモノ。
手足は人のそれで尻尾もないが、後ろ姿だけでも限りなく不気味なフォルムをしていることが分かる。

「シャ、シャワ? こいつ一体……」

「…………」

ハンマーさんでさえ目を白黒させている中、その生物は地面へと降り立った。

「………」

ぼんやりと正面を向いて佇むソレに、私は二つの意味で見覚えがあった。

頭部のトサカの下には竜特有の眼に黄色いクチバシ。そのクチバシは大きく開かれており、鋭く並んだ牙の奥には黒い髑髏の妖艶な眼孔がちらついていたのだ。


そんな時だ。
『彼』の口からボソボソと小さな言葉が漏れたのは。


「……ランポスダヨー」



「………へ?」



【ランポス】
種族:鳥竜種 竜盤目 鳥脚亜目 走竜下目 ランポス科
温暖な地域を中心に幅広い範囲に生息する小型の鳥竜種。
環境への適応力が高く、様々な地域で活動する事が出来る。
………以下略。



「バルス!!? バルスだよな? 一体どうしちまったんだよお前!!?」

そんな騒ぎに気付き、村人を押し退けて来たフレアさんが悲鳴に近い声を上げて駆け寄った。


「……ランポスダヨー?」


ひたすらにそんな台詞を力無く吐き続けるバルスさん。
……前言撤回します。


「……二年もあれば人はあんなに変われるんですね」

「いえ……たった一晩でこうなったわ」


「……おいシャワ。そりゃ一体どういう事だ?」

頭を抱えながら尋ねるフレアさん。
もう完全にお手上げの様子である。

「……巨龍の話題が出る少し前の事よ。その時、私の家が主催のパーティーみたいなものが開かれたの。それでバルスが流れで急に場を沸かせることになったんだけど……」

「……まさか一発芸を外して大ブーイングを喰らったショックでこうなったと?」

「……話が早くて助かるわ。ここまで引っ張ってくれば自然っ治ると思ったんだけど、そう上手くはいかないみたいね」

「……この事態になんっつー下らない……っ!」

「……全くね」

「そうでしょ……ってし、師匠っ!?」

「アンさんっ!?」

シャワちゃんがギョッとした表情でのけぞる。
やっぱりアンさんのこの登場の仕方は心臓によくないです。

「な、ななななななんでここに?」

「……あら? 聞いていなかったの? ハンマー、貴女はやっぱり相変わらずね」

「んふふ、だから誉めないでってば」

「……ハンマーさん、少なくとも私の印象値はだだ下がりですからね?」

「いやいや、そんな」

「いやいや、まじで」

「師匠………私がどれだけ探したか……」

「……シャワ、話は後にしましょう。……まずはこの男」

「……ボクランポスダヨー」

「……悪いけれど、時間が余り無いのよ」


「アンさん!? そんなに助走をつけて何を………っ!?」





吹き飛ぶバルスさんを見て、アンさんがシャワちゃんの師匠だという事を確信した私でした。




        



ひとまず、バルスさんは何とか一命を取りとめ……いえ正気に戻りました。

「ごめん……シャワ。よく覚えてないんだけど、迷惑かけたみたいだね」

「いいのよ、バルス。困ったときは助け合おうって決めたじゃない」

「シャワ……恩に着るよ」

師弟間で『彼は殴っても大丈夫』という暗黙の了解が出来たのだと、裏でシャワちゃんが嬉しそうに語っていたことを……私は生涯黙っておこうと思います。


「やぁ皆、改めて久し振り。見ない顔もいるけど、変わりなく元気そうだね」

顔は大惨事になっていますが、それでも挨拶は欠かさない自称紳士。
恐らく今日がスカルフェイスが一番役に立った日でしょう。


「ん、じゃあこれでやっと全員集合だね」

「あ……」

ハンマーさんの言葉にハッとして周りを見渡す。


黒い髑髏がもはやトレードマークのバルスさん。

優秀なガンナーでしっかり者のシャワちゃん。

伝説のガンナーの異名を持っている、少しミステリアスなアンさん。

元気一杯のヨルヴァ君に豪快なハルクさん、そして二人の制御役を頑張るモモさん。

勇猛果敢、熱血のフレアさんに、医療ハンターのチョモさん。



そして、いつも通り隣にいてくれるハンマーさん。

ちょっと悪ふざけが過ぎたり、信じられないようななことを平気でやったりする彼女が。

どんな時も支えてくれて、ずっと守ってくれたこの人がいてくれる。




見渡す限りに、こんなにも沢山の頼れる仲間達がいるのだ。

それは奇跡といっても決して過言じゃないと思う。


それぞれが関わり係わりあい、助け助けられてきた数々の見えない軌跡が、私の考えの及びもしない物語があったはず。


そして、バラバラに見えたそれらが今――ここに集結したこと。

それを皆が物語っている。

皆が証明している。




「アクア、でもまだ終わってないよ」

「ええ、そうですよね」


その軌跡をここで終わらせてはいけない。

終わらせる訳には、いけない。

物語の終結は、ここから更に『向こう側』。

最後の試練はもう目前までやって来ているのだから。



「絶対に……絶対に生きて! また、この村に集まりましょう!」

『おぉ!!』




幾重にも重なった仲間達の声は、湯元から溢れる波紋のようにゆっくりと、しかし揺るぎない速度で村中へと広がっていった。

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Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
楽しんで読んでもらえたら幸いですね
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