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ガイドポストは龍の調べ 第五話

2012/10/21

ー黒と金の狩人ー


ー砂漠ー

アクアとハンマーが火山へ向かう少し前のこと。

太陽が執拗に照りつける砂漠に、二つの影が並んで歩いていた。


「はぁ……。やっぱり砂漠は暑すぎるね……つらい……」

そうバテ気味に呟いたのは『全身黒ずくめ』の見るからに怪しい男。

「そんな暑苦しい『モノ』かぶってたら暑いに決まってるでしょう!?」

横にいた金髪の少女が、そんな男に鋭く突っ込んだ。

「いや……これはもう体の一部みたいな物だから……」

「うっわ……ホントみたいね」

彼の頭には真っ黒な『スカルフェイス』が装備されていた。
そんな不気味なモノから直に汗が流れているのだから訳が分からない。


男を見ながら全力で引いているザザミS装備の彼女は『シャワ(shawa)』、頭以外も全身黒づくめな男は『バルス(varus)』。2人ともハンターである。

二人は砂漠にとあるモンスターの討伐に来ていた――――




「全く……いくら報酬の為だからってこんな怪しい男と組まなきゃならないなんて……」

「まぁまぁ、そう刺々しないで」

「だったらいい加減それを外しなさいよ! 一回も素顔を見せないし……本当に不気味よそれ」

「だからそれは出来ないんだってば……」

こんな言い合いを続けている二人の出会いはつい先程、ドンドルマから少し離れた町の集会ギルドでの事だった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「えぇー! このクエストは二人以上でないと参加不可!?」

いつもよりも騒がしいギルドの中、シャワは受付嬢に猛然と詰め寄っていた。

「ごめんなさい。今回出現しているモンスターは今までに無いほど危険な可能性があるから、ギルドからの指令で二人以上でないと受注出来なくなってるのよ」

「そんなぁ……こんな報酬のいいクエスト逃したくないのにー……」

シャワがギリギリと悔しがっていると、受付嬢がある提案をしてきた。

「そういえば、さっきも同じようなハンターさんがいたわよ? その人と組んでみたらどうかしら?」

「え……」

シャワは一瞬ポカンとし、

「えぇぇ!? 他のハンターと組めって言うの!?」

露骨に嫌そうな顔をした。

「大丈夫、自信を持ちなさいよ。異例の若さと早さで上位になったのはあなただけなのよ? それに、今後の参考に一度くらいはソロ以外の狩りも経験してみないと」

シャワはまだ16になったばかり。
しかし、とある一件で年齢以上のハンターのセンスをギルドに認めさせ、上位ハンターにまで登り詰めた実力者である。

しかもシャワはソロ限定でクエストをこなしており、その評価も加えられて常人離れしたスピードでHRを6まで上げたのだ。

しかしなぜソロ限定だったのか?

「いや………ん~……でもなぁ………」

表情を曇らせてうつむく彼女。

一見強気な性格のシャワだが、実はかなりの人見知りなのだった。

受付嬢は昔からそれを知っていたので、こう続けた。


「私の勘が間違っていなかったら、あのハンターさんとならシャワさんはきっと上手くやっていけると思うわよ?」

「その根拠はどこから来るのよ……?」

「そうねぇ……私の彼氏いない歴が最短でも0年とか?」

「………シェリー」

シャワは遮るように受付嬢の名を呼んだ。

「ちょっとぉ、勤務中に名前はやめてってば」

受付嬢は匿名性やミステリアスさも売りにしているのは知っている。ちょっとした嫌がらせだ。

「で、その『ハンター』ってのはどこにいるのよ?」

これ以上彼女の自慢話を聞くのも癪だし、どうせ何を言っても会わせられるのだろうとシャワは半ばやけになってハンターの場所を訪ねた。

「あら、もう後ろにいるわよ? さっき手招きしときましたからねぇ」

シェリーはシャワの後ろに向ってにっこりと営業スマイルを浮かべていた。

「えぇ!?」

そんな! とシャワは後ろを振り向く。


「  」

驚き過ぎて声を忘れてしまった。



真っっっ黒!

そんな怪しすぎる男が立っていたのだ。

「どうも、初めまして。バルスっていいます。君が噂のシャワちゃんだね? いやぁ、僕も一人で困ってたんだよ! 良かったら一緒にブハァッ!?」

思わず殴り飛ばしてしまった。

「何この怪っしい奴!! 不審者よ! 不審者! ギルドナイトさ―――ん!」

「ちょっと、違うってば。見かけはちょっとあれだけど、ちゃんとしたハンターさんよ?」

くすくすと笑いながらシェリーが「大丈夫ですかー?」と転がっている男に駆け寄る。
あれが彼氏いない歴0年の秘訣なのかしら……?

「痛たたた……怪しまれるのは慣れてるけど、いきなり殴られたのはこれで二度目だよ……というか君も結構酷いこと言ってるからね……?」

バルスと名乗った男は(何故か)腫れ上がっているスカルフェイスを撫でながら立ち上がった。

「あ……ごめんなさい。で、でもあんたが怪しすぎるのが悪いわよ! なんで全身真っ黒なのよ!」

「いやぁ…なんでって言われてもポリシーと言うか……」

と頭を掻くバルス。

「照れるな! そんなポリシー捨ててしまいなさいよ!」

「はいはーい、二人共。混んできてるから話はクエスト中にしてくださいね。あ、準備はしといたから」

「え!? ちょっと何!? 引っ張らないでよ!」

「痛い痛い痛い! 腕はその方向には捻れないから!」

と、シェリーに無理矢理砂漠に送り込まれてしまったのだ。

    

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「全くシェリーの奴……帰ったら覚えときなさいよ。……それにしても、一体ターゲットは何処にいるのかしら? これだけ歩き回っても見当たらないなんて」

「う―ん……岩場の方にもいることがあるよね。そっちも探してみようか?」

「そうだったわね。……ええっと、岩場はどっちだったかしら?」

「太陽があそこだから……こっちだね」

バルスは太陽の位置と周りの風景を照らし合わせ、すぐに一点を指差した。

「あなた結構手慣れてるわね……どの位ハンターやってるの?」

ふと気になって訪ねてみる。

「ん―、ハンターになったのは10年位前かな?」

「おっさん!?」

少し距離を取る。

アブナイ……若そうな声に騙されるところだった。
スカルフェイスのせいで声がくぐもってるから今一声で年齢を判断出来ないのだ。

「失礼な! これでもまだ若いんだよ!?」

「だからどこが『これでも』で『まだ』なのか分からないのよ!」

時々口論を交えながら、二人は岩場を目指しながら話続けた。

「僕は旅をしながら狩りをしてるからね。あの街に来たのはつい先月なんだ」

「旅? 珍しいわね。普通なら拠点は1つに絞るのに」

「……ちょっと目的があってね」

「ふ―ん。そう言えばここらじゃ見ない装備をしてるわね」

バルスはこの大陸のものではない、ブナハ(黒く着色済み)と呼ばれる装備などを組み合わせて身につけていた。

「普通はその大陸のギルドに登録してるから管理外の場所に移動する時は装備は持ち出せないんだけどね。その辺は旅のハンターの特権かな。他にも例外はあるけどね」

「ふ―ん、そういうのも悪くないわね」

そういえば、 とシャワは思う。

(不思議ね……初めて会った人とこんなに普通に話せるなんて………)

いつもならもっとギクシャクとしてしまうのに、彼には昔からの知り合いのように気兼ねなく話せてしまう。

「ねぇバルス、もしかしてどこかで会ったことあったかしら?」

「んん? こんな可愛らしいお嬢さんに会ったら忘れないはずだけどな?」

「……セクハラで訴えるわよ?」

「ごめんなさい」

(逆に怪しすぎるから一周回っちゃったのかしら……?)

可能性は十分に高い。
しかし話していると、外見はともかく中身は案外まともだというのも分かってきた。

「まぁ食えない性格してるとは思うけどね」

ボソリと呟く。

「ん? 何か言った?」

「別に?」

そうこうしてる間に、岩場に到着した2人。

到着した岩場は周りを巨岩に囲まれた比較的涼しい地帯である。
砂漠の生物の避暑地としても機能しており、今日も涼みに来たアプケロスが並ぶように草を食んでいる。

「うーん、いないかな? ま、取りあえず一旦涼んで……」

しかしバルスが岩場に一歩足を踏み入れた瞬間、場の気配は一変した。





――――砂漠の生物は過酷な環境にいる分、テリトリーを犯す者に激しい対応を見せる。





「! 近くにいるわ!!」

シャワが咄嗟に警告する。
その後すぐに辺りが大きく揺れ始めた。

「凄い地響きだ……相当でかいな」

バルスは背負っていたランスを構え、シャワもすぐにライトボウガンへ弾を装填し始める。

すると、大きくなってきた地響きが目前でピタリと止まったのだ。

「…………?」

「足元っ!」

「……っ!?」

シャワが叫ぶと同時にバルスも跳んだ。

さっきまで自分達が居た地面が消し飛ぶ。
代わりに巨大な塔が現れたのが、砂煙の中でも確認できた。





――――そしてその範囲はその生物のレベルと確実に比例している。





「……確かにこの巨大さは一人じゃ辛そうね」

「……しかも何か多くないかい?」

「あなたにも見える? なら気のせい……じゃないようね」

二人は冷や汗を掻きながら見上げた。

「ギャオォォォォォン!!!」

砂煙の中から現れたのは、砂漠の守護神とも呼ばれる偉大な存在。

ただし通常のハンターが出会うような固体とは訳が違った。

3本角、そして灰色の巨大なディアブロスの咆哮が砂漠に響き渡った。

砂を震わせる程のバインドボイスをバルスの盾が一身に引き受ける。

「戦闘開始よ!」

「OK!」

炎天下の砂漠の中、大きな影と小さな影二つが激しく動き回る。

「デカかろうが角が多かろうがね、弱点は変わらないわよ!」

シャワが撃ち込んだ氷結弾がディアブロスの尻尾を正確に貫通する。

「おぉー、噂に違わない腕前だね」

バルスは氷属性を纏う槍を振い、ディアブロスの足を軽やかなステップで攻めながら声を漏らす。

この地方にはいない、ベリオロスという飛竜の素材で出来た槍である。

「喋る暇があったら攻撃しなさいよ!」

シャワは弾をリロードしながら怒鳴る。

「う―ん、甲殻が大分固いな……これは長期戦になりそうだ」

「ちょっと! 聞いてるの!?」

「大丈夫、その可愛い声はちゃんと聞こえてるよ!」

「――っ!? 調子狂うわね……!」

そかしいくら攻撃してもディアブロスは一向に弱る気配がなく、二人は徐々に消耗し始めていた。

「……くっ! また潜ったわ!」

「音爆弾を投げるよ!」

バルスは迫ってくる砂煙に向かって音爆弾を投げる。

苦手な高音を聞いたディアブロスはたまらず飛び出してくる……はずだったが。

「!?」

「バルス!!」

何故か音爆弾の効果は全く見られず、バルスはディアブロスの突き上げを食らい、空高く舞い上がった。

「ぐ………っ!」

盾によって辛うじて角の直撃は免れたバルスだったが、盾は弾き飛ばされ、衝撃によるダメージも大きく体の自由はほとんど効かない。

そして落下地点には……


「……串刺しがお好きなのかな?」

ディアブロスが角を構えて待ち受けていたのだ。

まさに絶命絶命である。

「……間に合って!」

シャワは急いで生命の粉塵を振りまく。

「これは……」

粉塵を纏った優しい風がバルスを包み込み、動けるくらいに回復したバルスだが、まだ空の上である。

「くっ……不味いな……」

落下しながら考えるバルス。

シャワはディアブロスの気を引こうと必死で弾を撃ち込んでいるが、角竜の狙いは一向にぶれない。

「こんなところで…………っ!」

バルスが諦めかけたその時、下から声が聞こえてきた。

――……を……っ……て!!

「ん……?」

風の音でよく聞こえない。
バルスは音を遮る風の中、必死に耳に意識を集中させた。
出会って間もないが、バルスは不思議と彼女を信頼していた。

「槍をこっちに投げて!」

「!」

ハッと手を見るとそこにはしっかりと槍が握られていた。

「あんなに激しく飛ばされたのに武器を手放さないなんてな………」

バルスは全ての力を使い、下に向かって槍を投げた。

「何を考えてるかは分からないけど……シャワちゃんを……信じるよ…」

バルスの意識はここで途絶えた。


降ってきた槍はディアブロスの近くにうまく突き刺さる。
岩場付近なのでやや固めの土なのが幸いしたようだ。

「おりゃ――!」

シャワは刺さった槍目掛けて走り、跳んだ。

シャワは槍を踏み台にしてディアブロスに飛び乗ったのである。

そして暴れる角竜の背を走りながら、シャワは落ちてくるバルスを何とか角の手前で受け止めることに成功してみせたのだ。


     


「………早く起きなさいよ!」

スカルフェイスを叩かれる衝撃でバルスはハッと意識を取り戻した。
どうやら五体満足で助けられたらしい。

「シャワちゃん……ありがとう。……ところでここはど…ゴボッ!?」

回復薬を無理矢理飲まされながらバルスは尋ねた。

それに対してシャワはやや言いにくそうに、

「ディアブロスの……上、かな」

と言って目を逸らした。

「あー道理で揺れると……ってえぇ!? ……うわっ!」

「きゃあ!」

ディアブロスは違和感を感じたのか、暴れながら走り出した。

「ちょっと! ねえ、どうしよう!?」

「僕に言われても!」

「もともとあんたを助ける為にこうなったのよ!? 音爆弾使ったからって油断するからよ!」

「怒ってもいないディアブロスに音爆弾が効かないなんて分かるはずないじゃないか!」

二人は必死にしがみつきながら言い合いを続ける。

そんな二人を乗せたディアブロスは砂漠の彼方へと走り出していった。

                         



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Author:楽太郎
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