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ガイドポストは龍の調べ ~Last Guidance,~ 第七話

2013/04/27

「お待たせしました!」

「……あら、武器が変わってるわね。びっくりだわ」

外で待っていたアンさんは合流するなり私を見てそう口を開いた。

しかし、びっくりしたとオーバーに両手を広げている割りには眉ひとつ動いてない。
しかも夜の暗さで武器などろくに見えないはずなのだけど……。

「アンさん……ひょっとして知ってました?」

「……さぁ、一体何をかしら?」

「…………」

フイッと目を(わざとらしく)反らすアンさん。
何故こんなにも疑わしいのだろうか。

「ちょっと、師匠もアクアさんも話してないで急いで! 予定よりも時間が掛かっちゃったんだから!」

「あ、ごめんなさい!」

シャワちゃんに急かされながら、私達は気球船までの道を走り始めた。

「え!?」

「うぉ!?」

しかし、気球船まであと少しという所で前から急に飛び出してきた何者かにぶつかってしまったのだ。

「いたたた……」

反動で後ろに転んでしまっが、幸いにも尻餅だけで済んだ。

「アクアさん大丈夫!? ちょっと誰よ危ないじゃない!」

「わ、悪ぃ! 急いでたもんでな」

すると驚いたような男の人の声が上から聞こえた。
結構な勢いでぶつかってしまったのだが、どうやら倒れたのは私だけらしい。

「す、すみません!」

謝りながら上を見上げると、目に映ったのは見覚えのある紅い長髪。

「フレアさん……?」

「ちょっとフレア、ちゃんと前見ないからぶつかんのよ!」

後ろからチョモさんの怒鳴り声もする。
気球船にいるはずのギルドナイトの二人だ。

「何だ……アクア達かよ。おい大丈夫か?」

「あ、はい。ありがとうございます」

フレアさんが差し出してくれた手を掴んみながらお礼を言う。

「ちょっとフレアったら無視!? もうギルドナイト失格! その地位よこせ! しかも何よ紳士ぶってさ!」

ぴょんぴょんと跳ねながらフレアさんの後ろで文句を言うチョモさん。

「……それにしても遅かったじゃねぇか。何かあったのか?」

しかし彼はまるで聞こえないかのように会話を続ける。

「おいこらフレアー!」

「私の父がちょっとね……。貴方達もしかして探しに来てくれたの?」

「それもあるんだがな、実は予定に少し変更があったんだ」

「予定の変更ですか?」

「ああ。ハンマー達とも話し合ったんだが、実は………ぐっ……!?」

突如としてフレアさんの後ろから二本の腕が生え、ぎりりと彼の首を締め上げた。

「時間が無いとこ悪いけどさぁ……無視されちゃうと私もちょーっと寂しいんだよねぇ?」

ミシミシ…と、首からしてはいけない類いの音が聞こえてくる。

「……ぐ……わ、分かった………謝る……あやまるから……っ!」

「ならよろしい」

「げほっ……はぁはぁ……」

スッと腕が後ろに消えると同時にフレアさんの顔に血の気が戻っていく。

「ちょっと! なんで皆この忙しい時に遊びたがるのよ! しっかりしなさいよもう!」

ついにシャワちゃんの怒声が路地に鳴り響いた。

少し弁解したいところだったが、イライラしてるシャワちゃんには触らぬが吉だ。
バルスさんならこの段階でもう殴られてる。

「と、とにかくだ。俺たち二人はここで降りることにした」

「え? それってどういう――」

「……シュレイドに向かうのね?」

私が質問する前に後ろにいたアンさんが口を開いていた。

「……そうだ。黒龍ともう一匹、紅龍の場所が火山の奥地だと特定出来てな……俺らはドンドルマでギルドナイトをかき集めてシュレイドに向かうことにした。……シュレイド城に現れた黒龍はハンターズギルドの宿敵だからな」

その話なら聞いたことがあった。
ギルドの掲げる龍のエンブレムは黒龍討伐の意思を表したものだという話。
単なるおとぎ話だと思っていたけれど、この現状なら真実だと分かる。

「……残りは私達が引き受けるということね」

「塔にしても火山の奥地にしても、地形的に多数で挑むことは出来ねぇからな……少数精鋭で頼むしか無いんだ」

「場所の特定が出来ても喜べる情報は無いんですね……」

「そんな弱気になんないでよアクアちゃん! 逆に考えるんだ、奴等も狭いとこで動かなきゃならないと!」

フレアさんの体ががぐいと横にずらされ、チョモさんがようやく姿を現した。
どうやら難しい話はフレアさんに一任してたらしい。

「確かに、前向きに考えないといけませんね」

「そうそう。アクアちゃんは難しく考え過ぎなんだから、普通の狩りみたくリラックスしていきなよ」

「普通の狩りもそこまでリラックス出来るようなものじゃないんですけどね……」

苦笑いしながらそう答えるも、いつもの調子のチョモさんを見ている内に緊張はほどけていた。

「てな訳で早めに騎士団の連中を集めなきゃならないんでな、悪いが俺らは先を急ぐぞ」

「アクアちゃん達も頑張ってね! 全部終わったら皆で祝杯を上げよう!」

「……それって死亡フラグになりませんかね?」

「……私、この戦いが終わったら結婚するんだ」

「それもです。ていうか嘘ですよね」

「ここは私に任せて先に行くんだぁ!」

「それもですけど、ここで言うのはおかしいですよね!?」

「こんな奴等と一緒にいられるか!私は自分の部屋で寝るわ!」

「それは主にミステリー物でしか使えませんから!」

「ならねぇ………っ! ………ふ、フレア早く行こうか。じゃあね皆!」

「おい何いきなり慌てて…………っ!? そ、それじゃあ頑張ってくれよな! ……おいチョモ早く逃げるぞ!」

「あれ? どうしたんでしょういきなり慌てて……………あ」

「………始めに言っておくけど、私は何もしてないわよ?」

私が最後に見たのは後ろで真っ赤になって震えていたシャワちゃんの姿だった。

「あぁもう!! 静かにしろって言ってんでしょうがあんた達はぁぁぁぁぁぁぁ―――――!!!!!」


シャワちゃんは大人びたのではなくただ我慢強くなっただけだったのだと、私はこの後猛烈に反省することになる。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「……という訳で何とか気球船まで戻ってきた訳です」

「それが僕の殴られた理由の説明になってるとは到底思えないんだけど?」

「いやいや、ここは無事にシャワちゃんから生還したアクアを誉めるべきじゃない?」

「ちょっと私をモンスターみたいに言わないでよ!」

夜も深くなった頃、気球船の中ではそんな会話が響いていた。
(結局夜も遅いということで飛行は断念。
出発は明日の朝、日差しと共にということになっていた)


「ごめんなさいバルスさん……あのシャワちゃんを止められるのはバルスさんしかいなかったんですよ」

「結果止められてはいないけどね……?」

バルスさんはヒビが入り腫れ上がった頬を撫でながら言った。
その間にもそのヒビは修復されている……本当に不思議な装備だ。

「それにしても、本当にそのメンバーで大丈夫でしょうか?」

私は改めて口を開いた。
先程聞いた明日の決戦についての話だ。

「うん、火山方面にはモモ、ヨルヴァ、ハルク、そしてアンさんの四人が。そして塔にはバルスとシャワ、アクアに私が向かう。ヨルヴァ達にはアンさんが着いてくれるって言うし、そこまで心配は無いんじゃないかな?」

「……私としては塔の方に興味があるのだけど、彼らだけに任せるのはね」

……優先順位は間違えられないわ、と若干残念そうなアンさんの目線にはヨルヴァ君達が映っていた。

「んげぇ……もうポポノタンは一杯なんだってば……」

「ううん……ダメだ……そんなこと認めないぞ……」
聞いたところ、三人はどうやら待ちくたびれて寝てしまったらしい。
私たちが帰ったときには既に毛布がかけられていた。
むにゃむにゃと眠るヨルヴァ君。こんな少年が有能なハンターだとは誰も思わないだろう。
ハルクさんは咆哮のようないびきを上げている……。

昼間は平気そうにしてはいたが、(ハルクさんはともかくとして)残りの二人にはかなりの負担が溜まっていたのだろう。
まだチームを組んでわずかの期間で、歴史に刻まれている程のモンスターと戦わなければならないのだから当然だ。

「でもアンさんやハンマーさんが見込んで、……それに私だって信頼してるんだから頑張ってくださいね?」

そう言ってヨルヴァ君のずれた毛布をそっと直すと、彼は年相応のくすぐっそうな笑顔を見せた。
いい夢でも見ていればいいのだけど。

「明日は先に火山に向かって、塔に向かうのは最後なんでしたっけ?」

「うん。僕がいないと操縦がもう誰も出来ないからね」

バルスさんが少し得意気に言う。

「あれ? シャワちゃんの気球船なのにシャワちゃんは操縦出来ないんですか?」

「……墜落してもいいならやるけど?」

「彼女は操縦席に立たすと固まっちゃうからねぁ」

苦笑がちに言うバルスさんをシャワちゃんはギロリと睨むがそれ以上は何も仕掛けない。
どうやらシャワちゃんの高所恐怖症はまだ健在らしい。

「さてと、じゃあ私たちもそろそろ寝ようか? 明日に備えてね」

ハンマーさんはあくびをしながらそう言うと、すぐに毛布にくるまり始めた。

「あれ、もう寝ちゃうんですか?」

「ん、元気は蓄えといて損はないからね」

いつもなら一番遅くまで騒いでるハンマーさんが珍しいものだ。
そんなことを考えていると彼女は更に珍しいことを言ってきた。

「ねぇアクアー、今日くらい一緒に寝ないかい?」

「えぇ!? どうしたんですか急に……まさかハンマーさんともあろう人が緊張してるんですか?」

「まっさかぁ! アクアが寂しがるだろうと思ってねー。……嫌かい?」

「えーそんなことないんですけどねぇ。……まぁ、今日くらいは甘えておきましょうか」

「あ、ずるい。なら私も混ぜてよ」

「なら僕もー! なら僕もー!」


結局、私たちは三人で枕を並べて寝ました。
特に語らうこともありませんでしたが、いつもよりも安らかに眠ることができた気がします。
ハンマーさんがやけに大人しく少し心配になったけれど、すでに寝入ってしまったようで静かな寝息が聞こえていた。


ちなみに、バルスさんはす巻きにされて甲板に放り出されました。
流石に擁護の余地無し、です。



明日何が起きるか、待っているか、帰ってこれるのか。
そんなことを考えながらいつしか私は眠りに落ちていた。



そして、決戦の日が明ける―――
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Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
楽しんで読んでもらえたら幸いですね
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