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とある村の話

2013/04/29

ある大陸、ある森に小さな村があった。

その村には他には無い特異な伝統が存在した。



とある生き神を祀る――そんな伝統が。



その伝統は昔より受け継がれる悪質な妄想などではなく、その生き神が村の守り神であるという根拠があった。




――何十年に一人、神と会話の出来る人間が産まれるのだ




その人間は神の一つ下の位に着き、村人の声を神に届けた。
そして神の声を村人に届け、村人は神からの恩恵を授かった。

そのお陰で森深くの村にもモンスターは寄り付かず、果実の実りや作物の育ちも良い。
村人は恵まれた穏やかな生活を過ごすことが出来ていた。

それに神は代償を求めなかった。

村人が恵みを喜ぶならそれでいいと。

村人は大変感謝した。




そんなある日、新たに一人の神に選ばれし子供が産まれた。

丁度代替わりの時期を案じていた村人達は大変喜んだが、そこに一つの問題が浮かび上がった。

その子供は時が経つにつれて人よりも神の方に心を開いていったのだ。

村に作られた家に住み着かず、森を探索し、神と共に自然を学び、自然を愛した。



神を母親のように慕う子供を村人は次第に恐れ始めた。

いつの時も神の加護を受けた人間は村人の味方だった。
だがしかしその子供は神と異常とも呼べるほどに親しくなっていた。

――その子供が神に何か良くない事を吹き込むかも知れない

村人達はそんなことを考え始めその子供を畏怖し、いつの日からか神に対しても疑心暗鬼に陥っていった。


そんな時だある。
一人の村人が口を開いた。


――神も外にいるモンスターの一体で、いつ日か油断させたところを襲いに来るのではないか

――あの子供がそれに歯車を掛けているに違いない

と。


そう言ったのは子供の父親であった。


その後、村人達は次々に武器を持って立ち上がった。


彼らはただきっかけが、理由が欲しかっただけなのだ。

我々は我が身を守るだけなのだ、と。
それならば罰は下らないだろう、と。


そんな矛盾した反撃に神と子供は困惑した。

優しかった村人達が恐ろしい顔をして向かって来る……これは何なのか、と。

戸惑いながらも、優しい神とその気持ちを理解している子供は、村人に手を上げることは出来なかった。
曲がりなりとも今まで愛して、守ってきたものだったから。


村人達に追われ、傷だらけになりながらも子供は神と共に森を走った。



いつまでも追いかける村人達。
何が彼らをあそこまで駆り立てているのか、子供には理解出来なかった。




そして遂に追い詰められ、死を覚悟した時。
村人達は皆崩れるように倒れ込んだのだ。




――別に助けた訳ではありませんよ。ただ彼らが見るに耐えなかっただけです。


そう言って木陰から現れたのは、奇妙な被り物をした奇妙な女性だった。


礼を言い、ついでにその被り物は何なのかと尋ねた子供に、女性は平然と答えた。




――――――――――――?




そう言い切る彼女を見て、子供は――少女は初めて人間と触れ合えた気がした。
村人達はいつも自分の後ろの「彼」を見ていただけだったから。


少女はその女性に刷り込まれた幼鳥の様に慕い、離れろと言われても付き歩いているうちに何時しか親しい仲になっていった。

もともと無邪気な性格だった少女は彼女の教える外の世界の知識をすぐに吸収していった。
旅をしているという彼女の目的は少女が最も共感出来るものであり、少女は友人であり親である神と共に協力を惜しまないと誓った。


ルシャ。
その後、名前の無かった少女を女性はそう呼ぶようになる。

後にルシャは、友である神には沢山の同族がいることも学び、友がその中でも特に巨大なのだということも知った。


ただただ恩人である彼女の助けになりたかった。
中には疑問に思うようなこともあったが、ルシャはそれに異議を唱えようとはしなかった。

やがて、強大で禍々しい龍と対峙して、勝利を納めた。
彼女はそこで目的を達成するための強力な力を手に入れた。


――私はたとえ憎まれようと、最後には皆が笑っていられるような世界を作りたいんですよ


その晩、彼女はルシャと夢を語り合い、笑いながら夜を過ごした。







彼女が笑ったのはそれが最後だった。












後にルシャは思う。
あの時既に、もう後戻りの出来ない所まで来てしまっていたのではないかと。

それでも、とルシャは思う。


彼女には不幸になって欲しくない。
ルシャは今も異議を唱えずに、彼女の傍らに付き従っている。
彼女の先にあるものを守るために。




それはかつての村人が自分にしていた事だと、少女はまだ気付いていない。

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楽太郎

Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
楽しんで読んでもらえたら幸いですね
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