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ガイドポストは龍の調べ 第六話

2012/10/21

-金獅子、降臨-



ネコタクに乗り、船での航海を終えたアクアとハンマーは予定より早く火山のベースキャンプへと辿り着いていた。

「ふぅ、ようやく着いたね」

「やっと体を動かせる」と背伸びをしながら言ったハンマーは手慣れた様子で荷物をほどき、拠点であるベースキャンプの設立に手をつけ始める。

――その傍ら

「うぅ……気持ちわるい……」

アクアは呻きながら船の桟橋でうずくまっていた。

「大丈夫? はい、薬草」

ありがとうございます……、とアクアはよろよろと薬草を受け取り、口に放り込む。
爽やかな香りとほのかな苦味が広がり、土気色だった顔に少し明るみが戻る。

「力のコントロールは出来るようになったけど、遂に乗り物酔いは治らなかったねぇ」

ハンマーは気遣うような顔でアクアを話しかけるが、口元はしっかりとニヤけている。

「うぅ……私だって結構馴れたつもりでしたよ……。でもですね……でもですよ? 船上であんなに揺さぶられたら誰だって酔いますって………!」

ジト目でハンマーを睨むアクア。

「えぇー? 私は平気だったよ?」

ハンマーの口はまだニヤけたままだ。

「ハンマーさんはどうかしてるんですよ!」

アクアはガバッと飛び起きて抗議する。

「お、元気になった」

「はぁ……怒ったら大分楽になりましたよ。 さぁ、途中だったクシャルダオラ対策をまとめてしまいましょう。本当は船で終わらせるはずだったのに……」

「あはは、ごめんごめん。でも早く着いたでしょ? クシャルダオラもまだみたいだしね」

ハンマーが古龍観測所の気球を確認しながら言う。
今回はギルドの全面協力を得て、気球からの偵察を常時行っているのだ。

「じゃあまずは早めに火山の奥地まで足を進めて……」

二人は現地の細かな情報も合わせて作戦を練っていった。

     
  

「狙うは『頭』……ですか?」

アクアは確認するように呟く。

「狙うのは正確に言えば『角』だね。古龍の不思議な力はさ、角を破壊すると効力をほとんど失うんだ。何でかは分からないけどね~。クシャルダオラの纏う暴風はかなり厄介だから、まずは角の破壊を優先させる。それに頭は弱点だから一石二鳥って訳だね」

「なるほど……」

アクアは神妙に頷いた。

ハンマーの説明はとても分かりやすいもので、まだ標的を見ていないアクアでも敵の情報をすんなり知ることが出来た。G級ハンターというのは、やはり色々と格が違う(ただし性格は抜かす)。

「じゃあ早速火山内部の洞窟に行って、クシャルダオラを待ち伏せようか。ギルドの予測じゃまだ時間は余裕があるからね」

「分かりました!」

最終確認が終わり、二人は火山へと足を進めていった。


―火山内部―

ハンター達が『火山』と呼んでいるこのラティオ活火山では、留まることなく溶岩が流れ続けており、かなりの熱気や有毒なガスまで発生させている場所もある。
そんな生物を拒むかの様な過酷な環境だが、だからこそこの環境に適応した生物は強力な個体が多い。

「暑くなってきたね……アクア、そろそろクーラー飲もうか?」

そう言いながら汗を拭うと、ハンマーはクーラードリンクを一気に飲み干した。

「くぅ~! この体の芯から冷やされる感じ! やっぱ火山で飲むクーラーは違うね!」

「もう……ハンマーさんったら飲み過ぎです。決戦が控えてるんですよ?」

後ろを歩くアクアの呆れた声が聞こえてくる。

「へへ、予備はあるから大丈夫! それにね、私のは特製ハチミツ&ミント味だから絶品なんだよ」

ハンマーは「いいでしょ!」と自慢するように振り返った。

――が

「……え?」

彼女が見たものはシャリシャリと爽快な音を立てながら、真っ赤なイチゴを摘まんでいるアクアの姿だった。

「ななななな!? ちょっとそれ氷結晶イチゴじゃん! どうしたの!?」

狩りの時でも見せないような驚愕の表情を浮かべるハンマーに、アクアはさらりと答えた。

「ああ、さっき灼熱イチゴを採取して調合したんですよ。ん~、冷たーい」

「…………ねぇ、 一個頂けないかな?」

「ん~、せっかくアイテム減らしてまで氷結晶を持ってきましたからねぇ。自慢のクーラーを飲めば……わっ!? ちょっと引っ張らないでくださいよ!」

「いいじゃん1つくらい―! 減るもんじゃないし!」

「確実に減りますから! これには今回のモチベーションが懸かってるんです!」

「決戦前にイチゴ一個でモチベーションが下がってたまるか!」

「ハンマーさんはイチゴの素晴らしさを分かってませんね!」

盛大にわめきながらイチゴを取り合う二人。
もはやG級どころか上位の威厳すら感じられない有り様であった。


――そんな時

「!?」
「!?」


洞窟の奥から地響きの様なものが聞こえたのだ。

「ハンマーさん! ……今のは一体?」

「……分からない。だけど少し慎重に………わっ!?」

様子を見てみよう とハンマーが言いかけた時である。
周りの地面から幾つもの青い鋏が突き出して来たのだ。

「なっ!? 何なんですか!?」

無数の鋏を避けながらアクアが叫ぶ。

「火山で地面から出る鋏といえば……」

「「ギチギチ……」」

百は軽く越えるだろう大量のガミザミが二人を取り囲んでいた。

ショウグンギザミの幼体であるガミザミだが、成体に負けないくらい凶暴であり、毒まで有している危険なモンスターである。

「こりゃあザザミソで一杯……なんて言ってらんないね」

「ホントにそんなこと言ってる場合じゃ無いですよ! ……どうします? このままじゃ囲まれますよ!?」

ガミザミ達に距離を詰められながらも二人は素早く相談を交わす。

「……よし、このまま奥まで突っ切ろう!」

「さっきの物音の方にですか!?」

「帰り道は奴等の数が特に多い……、進むのは一番手薄なこの道しかない」

ハンマーは冷静に状況を分析していた。

「分かりました……なら蹴散らして進みましょう!」

アクアが覚悟を決めて武器を構えようとすると、

「いや、もっといい方法がある」

「え?」

そう言うとハンマーは、武器を構えもせずにガミザミの群れに突っ込んでいった。

「ハンマーさん!?」

アクアは咄嗟に呼び止めるが、ハンマーはこっちを見てニヤリとした後、ガミザミ達に向かって跳び上がった。

「イヤッフゥ!」

「うわぁ……」

ハンマーはなんと、ガミザミを踏み台にして奥の通路へと渡り切ったのだ。

「アクア―! 早く!」

向こうからはハンマーの呼ぶ声が聞こえる。

「うぅ…………仕方ないっ!」

アクアはごめんなさい! と謝りながらガミザミを上を踏んで渡った。
踏み付ける度に聞こえる鳴き声が夢に出そうで怖い。

「うまいうまい」

何とか渡りきると、ハンマーが腕組みをして頷いていた。

「ハンマーさんの発想には毎回驚かされてばかりですよ……」

「誉めない誉めない! 避けれる戦いはなるべく避けないとね。さぁ、奴等が追って来るから奥に急ごう」

「はい……」

二人は走り、不気味な雰囲気を醸し出す洞窟の奥へと向かっていった。



―火山最深部―

「これは………」

「……どうやら待ち伏せされてたのは私たちだったみたいだね」


洞窟の奥には、大量のガブラスが飛び交っていた。


「グルルルルゥ……」


そして、物音の正体であろう、巨大な獅子が鎮座していたのだ。

金獅子――ラージャン。
牙獣種でありながら、一時期は古龍として扱われていた程の力を持つモンスター。
並みのハンターなら姿を見ただけで逃げ出すほどの超危険生物。

そんなモンスターが二人を待ち構えていたのである。

しかも、恐らくは古龍化というおまけ付きで。

通常のラージャンより倍は長く凶悪にねじれた角。それは先端が二股に分かれており、ガウシカの角にも似ていた。
そして異常なまでに発達した筋肉、高質化した皮膚は従来の弱点である防御の低さを見事に克服している。

「あ………」

そんな金獅子にアクアが圧倒されていると、ハンマーの声が響いた。

「アクア! ラージャンの後ろ!」

ハンマーが指差す方向を見ると、目を疑った。

「!!!」

ラージャンの後ろには、巨大な翼をはためかせ、今にも飛び立とうとしているクシャルダオラの姿があったのだ。


「うわっ!?」


一瞬、目が眩むような光が辺りを包んだ。

ズキリ、と一瞬アクアの頭に痛みが走る。

鋼色ではなく光輝く純白。
全てを洗い流すような白色の甲殻を、かの古龍は纏っていたのだ。

「待て! ……うわっ!?」

ハンマーがクシャルダオラを追おうとした時、ラージャンがハンマーに向かって光の束を撃ち放った。

「くそっ!」

辛うじて避けたハンマーだったが、すでにクシャルダオラは飛び立った後であった。

「ハンマーさん! 大丈夫ですか!?」

アクアが駆け寄るとハンマーは大丈夫だと言って立ち上がる。

「……こりゃいよいよ不味いね……アクア、体に違和感は無い?」

「……ええ、今のとこ平気みたいです」

しかし上空のガブラスの群れ、前方のラージャン、後ろから大量のガミザミが迫るこの状況。

ハンマーも流石に余裕の表情は出来ず、冷や汗を流す。

「さて……どうしたものかね……」

「まだ何か……策はあるはずです! 私は諦めません!」

しかし二人は徐々に追い詰められていった。

ここまでか……? そう思った時、遠くから近づいてくる地響きに気が付いた。

「何か来る!?」

モンスター達も地響きの方向に顔を向ける。

そして、地響きはますます大きくなり、

そして……


「ギャオォォォォォォォォ!!」

「きゃあぁぁ!?」

アクアが驚きの声をあげた。

洞窟の壁が豪快に破壊されると共にディアブロスが突っ込んできたのである。

「何で火山にディアブロスが!?」

「し、しかも角が三本ありますよ!?」

二人が困惑してる間にも、土煙と共にディアブロスはガブラスやガミザミを次々と蹴散らしていった。

………そして、そのまま走り去っていった。



「………え?」

何だったんですか……? と声を漏らすアクア。

「…………さぁ?」

ハンマーも訳が分からないという顔をしている。

しかし、今の騒動でガブラスとガミザミの群れ逃げ出してほぼ壊滅。

残るはラージャンだけとなり、そのラージャンも舞い上がった土煙で身動きが取れないでいた。

「何か運が向いてきたかな?」

「……ん? ハンマーさん!」

するとアクアが突然土煙の中を指差した。

「え? ………人……影?」

土煙の中に見えたのは二つの人影。

「いやぁ……やっと降りれたね」

そう言って出て来たのは、全身黒ずくめの怪しい男。

「って言うか振り落とされたのよ……最悪! ていうか……ここって火山じゃない!? どうやって帰るのよ!?」

二人目は、ツインテールに纏めた金髪を振りながら怒る女の子。

現れたのは、二人のハンター。
バルスとシャワの両名だった。

「何ですか!? あの黒いのは!?」

アクアが何度目か分からない驚きを声に出す。」
彼はやはり、誰が見てもそう思えるような男だった。

「分かんない………だけど1つだけ分かることがある」

ハンマーがいつになく真剣な声で言った。

「な……なんですか?」

アクアも真剣な顔つきになって聞く。



「あのザザミっ子は絶対いい子」


「あぁ……同感です」


あくまで真剣な顔である。

「ん? そこにいる二人はハンターさん?」

「良かった! これで帰れる!」

二人がこちらに気付き、駆け寄って来た。

「あの、すみませんが……」

「ちょっ……! 待って静かに!」

ハンマーがこちらに近づくラージャンを指差した。

「……!!?」

「な――!? むぐ……!」

バルスは咄嗟に叫ぼうとしたシャワの口を塞ぐと、岩影に隠れようと提案し、四人はゆっくりとその場を離れることに成功した。

「ラージャンが火山にいるなんて情報……ギルドには無かったはずだけど?」

岩場について第一声、バルスがそう尋ねた。
ラージャンなどの危険生物はギルドが厳重に注視しているため、火山などに現れた場合、直ちに警報がギルドに伝わるのだが今回は全くの無情報である。
しかし、そもそも生態も解っていないモンスターの居場所を把握することが困難である為、情報を鵜呑みにすること自体が間違いなのであるともいえる。

「私たちも今、鉢合わせばかりだからね……」

「取り敢えずどうするのか決めましょう。気付かれるのはきっと時間の問題ですよ……」

土煙は徐々に薄くなっており、ラージャンもしきりに辺りを見渡している。

「でもこの状況でラージャンから逃げるなんて無謀よ! このまま隠れてやり過ごした方が……」

「確かにそうですね……」

「みんな落ち着いて! ここは冷静になって行動しないと……」

バルスガそう言った刹那、ガラガラと彼が背をつけた岩が大きな音を立てて崩れて落ちた。

「ブォオオオオ!!!」

瞬間、獲物を見つけたラージャンが体の底から震えるような咆哮を上げる。

「バルス!? あんた何てことしてくれたのよ!?」

「冷静になろうとした結果がこれだよ!」

「黄色いの黒いのも! 言い合いしてる暇は無いよ!」

「黄色いのじゃなくてシャワよ!」

「あ、同じくバルスね」

「こんなときに自己紹介してる場合ですか!」

「アクアも突っ込んでる暇無いって!!」

そうしている間にもラージャンはこちらに近づいていた。

グルル、という唸り声が恐怖心を耳から体の芯まで直に送り込む。

「……これはもう戦うしかないでしょ」

ハンマーが決心したように言う。

「戦うって……ハンマーさんラージャンと戦ったことあるんですか!?」


「無い!」

自信満々に言い放つ。

「敵の情報がほとんどないんですよ!? 危険です!」

「そんなの戦いながら覚えればいいんだっ!」

「ちょっと!? あなた正気!?」

「ここで引いたら絶対に誰かが犠牲になる!」

ハンマーは大鎚を担いでラージャンに向かって行った。

するとそれを追うように黒い影が続く。

「僕もそういうの、嫌いじゃないよ」

バルスがハンマーと並んで走り出していた。

「そう! じゃあよろしくお願…………って黒いの、あんた武器は?」



「…………あ゙」





(砂漠に忘れてきたぁぁぁぁぁぁぁ!!)




「あー………先、行くよ?」


立ち尽くすバルスを尻目に走り出すハンマー。

「バルスさん! これを!」

狼狽えてるバルスの元に走って来たアクアが一本の小太刀を手渡した。

「これは……!」

「父の形見です! 大事に使ってくださいね!」

「ありがとう、いい刀だ。 ……じゃあ行こう!」

「はい! ハンマーさんを援護しましょう!」

二人はハンマーに続いて走り出す。それを見て残された一人はため息をついた。

「あーもう……! どうしてこうハンターって皆無茶が好きなのかしら……まぁ私も人の事言えた立場じゃないけどさ」

そう言うとシャワはライトボウガンを構え、ラージャンに向かって氷結弾を撃ち放った。

「ブォォォォ!!」

唸りを上げて降り下ろされるラージャンの豪腕。

岩をも容易に砕くその一撃を喰らえばハンターといえどもひとたまりもないだろう。

ハンマーはそれを見切り、紙一重の間を置いて避ける。
吹き過ぎていく拳から生みだされる烈風を肌に感じながらながらも、ハンマーの目には闘志がみなぎっていた。

「だぁぁぁ!」

狙いは済ましたハンマーの一撃がラージャンの脳天に直撃、その直後にシャワの放った氷の礫が降り注ぐ。

「はぁぁ!」
「せい!」

怯んだその隙にバルスとアクアはラージャンの両側に回り込み、二振りの刀がラージャンの屈強な体を鋭く切り裂いていた。

「ブォォォ……!」

完璧なコンビネーションが決まり、金獅子はうなり声を上げながら後退した……、



――アクアの目にはそのように見えたのだ
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Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
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