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最終章 『Last Guidance,』 【後日談】

2013/07/13

………◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





赤い大きな『友達』の背に乗りながら、私は迷っていた。


「……ねぇ、マリさん」

そして、決心して私は帰ってきた『親友』に声をかける。

「何です? ルシャ」


返ってきたのは前のように冷たい声ではなく、昔のように柔らかな物腰で声。
それは懐かしく、嬉しく思う。


――だからこそ、なのだけど。

「あのさ、これ……なんだけど」

正直、少し緊張した。
ゆっくりと背中から『例のもの』を手に取り、彼女へと見せる。


「それ……拾ってきてくれたんですね」

先程より少し低い声。
そこから彼女の心意を窺うことは、少し難しい。

「マリさん……またこれ、つけてくれる?」

おずおずとした声で、勇気を振り絞って訊ねる。
声がちゃんと出ているか、自信はなかった。


――何を言ってるんですか。

「!」

そんな声が返って来たので思わず目を瞑ってしまった。

怒られる……?

しかしマリさんは私の手から優しく『それ』を受け取って、不思議そうな顔でニッコリと微笑んだのだ。

「クマちゃん、可愛いじゃありませんか」

「あ……」

――あの時と同じ台詞に、もっと優しい笑顔。

色々な感情が混ざり合って、目頭がかぁっと一気に熱くなる。

「マリさぁぁぁん! うわぁぁぁぁぁぁん!」

「おやおや、そんな泣き虫に育てた覚えはありませんよ?」

呆れたように微笑むと、泣きじゃくる私をマリさんは優しく抱き寄せてくれた。







「心配かけてご免なさいね。でもね、ルシャ……私はこれから償いのために生きなくてはなりません。まずはこの貰った命で、あの優しい妹を助けるために」

そのままの格好でしばらく経った頃、マリさんは私の顔をじっと見ながら真面目な顔でそう言った。

「……うん」


そして伏し目がちにこう続けた。

「……また手伝ってくれますか?」

「うん!」

当たり前だよ、と私はとびっきりの笑顔で答えて見せた。



「マリディア……私もこの道でこの子を得たことを、誇りに思いますよ」

マリさんは私に聞こえない声で呟くと、リノプロヘルムを深々と被る。

「うん、やっぱり似合ってるね。でもどうして今被るの?」


マリさんはしばらく黙った後、くぐもった声で言った。

「……風が少し、目にしみるからですよ」

「……?」


首を傾げた私の頭に付けられた、クックファーの髪飾りが風でふわりと揺れる。


「クエェェェェェェェ!」

二人を乗せたイャンクックは鳴き声を響かせながら雲の中へと吸い込まれていった。






◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





一年?
いや、二年だろうか?

少なくとも私には何十年にも感じた日々の末、あの人は帰ってきた。
あの時と同じ年齢のまま、まるで時が止まっていたかのように。



「――ということはマリアン……さんがハンマーさんを助けてくれたんですか?」

「どうやらそうみたい。気が付いたら塔の最上階にいてね、マリアンがルシャと一緒に私の前にいたんだ」

泣いたり怒ったり笑ったり、待たされた分の感情を思いっきりぶつけた後で。
私はハンマーさんを質問攻めにしていた。


「また何か難しいことをしたみたいなんだけど、何も言わずにそっぽ向いて帰っちゃってさ。……何かルシャが途中ニヤニヤしながらマリアンに叩かれてたけども」

あの人がそんなことを……今回ばかりは彼女に感謝しないといけないな。

「装備の色も変わってますけど……それは?」

「あぁ、これはね」

ハンマーさんが悪戯っぽい色を瞳に浮かばせる。
彼女のナルガX装備は以前の黒色ではなく、あのクシャルダオラのような純白に変わっていた。

「二人が帰った後、私も流石に混乱しててね。一人で状況を整理をしてたんだけど、その途中で色が白くて時々消える変なナルガクルガに襲われたんだよ――まぁ、返り討ちにしたんだけど。それで倒したナルガの素材を立ち寄った街で丸ごと加工して貰ったってわけ」

「そんなナルガクルガがいたんですか……」

ていうか遂に丸ごと持ち帰っちゃったんだ。
加工屋さんもさぞかし驚いただろう。

「その辺で私が知らない内に二年も経ってるって知ってさ、慌ててアクアを探しに行ったの」

「そうだったんですか……」

考えれば、分からないことだらけだ。
ハンマーさんがまた戻って来れた訳や祖龍の事……あのクシャルダオラの事だって、はっきりとしたことは分からないのだから。

「……世界はまだまだ広いってことですね」

ポツリ、そう呟いた。

「そう、私もそう思ったんだ!」

するとハンマーさんはその言葉に反応するかのように興奮したように身を乗り出した。

「思えばさ、アクアと出会ってからだよ。毎日があんなに楽しくなったのはさ。アクアの不思議な力にビックリして、一緒に古龍化事件や黒龍騒動やら不思議な事にも一杯出会って、それに仲間も沢山出来た。そりゃあ、しんどい時もあったけどそれ以上に私はこれ以上無いって位楽しかった」

――だからね、と言いながらハンマーさんは私から少し目を逸らした。

「帰ってきて早々なんだけど……また一緒に旅に出たいなって思っちゃったんだ」

ダメかな?
ハンマーさんが少し申し訳なさそうな顔をする。

「何言ってるんですか。ハンマーさんが一ヶ所に留まってられる人じゃないこと位分かってますよ」

「うぐ……」

「全くもう! 何のために今まで待ってたと思ってるんですか! 本当に昔から変なとこで遠慮しますよね、ハンマーさんは!」

怒ったふりをして私はそっぽを向く。
また少し泣きそうだった。

「ありがとね」

「代わりに、次どっか行ったら承知しませんからね! はぐれたらすぐ置いてくんですから!」

「ぜ、善処します……」

初めて会ったときから五年。
また同じ場所に立って。


「改めて、また宜しくね! アクア!」

「こちらこそ。宜しくお願いします、ハンマーさん!」

二人は再び強く握手を交わした。





「じゃあ今度は何処に行こうか?」

「もう旅の話ですか? ハンマーさんったら本当にせっかちなんだから……そうですねぇ―――――」



これから先に、一体どんな世界が待っているんだろうか。
日々広がっていく世界に向けて、私たちは何処までも足を進めていこう。


どんな人達が。
どんなモンスターが。
どんな土地が。


どんな冒険が。


一杯のワクワクがこの先に待っているんだ。




そんなことを考えながら。

後ろを追っかけてばかりだった人の横に並んで、私は歩んでいく。




END.
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Author:楽太郎
モンハン好きの誰しもが自分の『世界』を持っているはず。この話はそんな世界の一部分です。
楽しんで読んでもらえたら幸いですね
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